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ただ困ったのが「Do you have a girlfriend?」という質問で、俺は素直に“恋人はいるよ”と答えた。困ったのはそのあとで、どんな子なのか、誰に似ているかなど、まるでガールズトークのようなものをするはめになったことだ。
散々詮索はされたけれど、次来るときは連れてきてよと言ってもらえたのは嬉しかった。次、があるのも、その次も俺を歓迎してくれるのも、どちらも。
帰り際、たくさんプレゼントをもらった俺はそれを抱えながら建部に家まで送ってもらった。

「フジは、卒業したらこっちに来るの?」

「どうかな、また来たいとは思ってるけど」

「こっちの大学受ける気はなかった?」

「うーん、あった…のかな」

「ふーん、俺、フジのこと知ってたから、こっち来てくれてしかもうちの大学だし、こんな偶然あるんだって嬉しかったんだけど、」

「うん?」

「こっちで卒業したらいいのに」

「え?」

「いやほら、留学制度あるならさ」

「あー…俺の学力で?」

「フジの通ってた高校って、偏差値高くなかった?」

「え、そんなことまで知ってんの」

「それは調べた」

カラカラと笑った建部は、多分孝成さんと同じくらいの身長だろう。目の位置が同じくらいだ。明日、こっちを出て、日本に着くのはいつだったっけ…

「ま、それも考えてよ。あとさ、キャンプに呼ばれたりしたら迷わず来て欲しい」

「いや、それは」

「フジなら立てると思うんだけどな、大きい舞台」と、建部はにんまり笑ったけれど、今のレベルで声をかけてもらえるわけがないのは自分もよく分かっている。例えば留学が出来たとして、留学は出来なくても声を掛けてもらえたとして、俺はそのまま日本を離れられるのだろうか。

「チャンスがあるなら掴まないとって思うけど、何か引っ掛かってる?あ、日本に恋人がいるから寂しい、とか?」

孝成さんと離れる…そうか、寂しいのか。

「それもあるかもな」

「あはは、いいね」

何がいいのか、どこかにシャレでも含まれていたのか、俺には全然わからなかったけれど、建部は別れ際「俺が日本行く時はまた飯行こうな」と簡単に話題を変えてしまった。

アメリカで学んだこと、食べ物が全然違うこと、自分の体型にあった靴や服が日本よりもあること。ストリートバスケのレベル、練習法、チームメイトとの関係、諸々。
バスケは間違いなく楽しかった。自信なんてものはなくしたけれど、自分には合わなかったという気持ちはゼロだ。自分がやりたいと思ったことだから、という前提を無しにしても、ああここでバスケがしたいなと思った。改めて、そう思ったのだ。



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