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孝成さんが四人兄弟というのも驚きだけど、なんとなく顔や雰囲気はお兄さんたちと似ていそうだな、なんてことを思って気を紛らわせた。

「似てます?孝成さんに」

「どうかな、似てるとは言われないかな」

「へ〜…想像つかないです」

「良いよ、今は俺以外のこと考えなくて」

「……そういうところですよ」

「ん?」

「サラッと格好良いこと言うところ。男前なんですよ」

ベルトを抜いてズボンを下げると、見慣れてしまったパンツが現れた。ちなみに穿いている姿は見慣れていない。見慣れたのは洗濯して畳んだものだ。
やんわりとその下の形を象った下着に手を掛け、さすがに止められるかなと視線をあげると、「どうぞ」というように堂々とした顔で見下ろされた。

「パンツは自分で脱いでください」

「はは、言われると思った」

「…からかわないでくださいよ」

「からかってない。少し待ってて」

「あ、」

するん、と、あっさり俺の目の前でパンツを下げた孝成さんは、帰ってきたときの疲れた顔も一緒に脱ぎ捨てたみたいに柔らかく笑った。

「タオル、置いときますから拭いて出てきてくださいね」

「分かってるよ」

「分かって、あ、も〜」

パタリとバスルームのドアが閉まる。
さっきまでなんとなく落ち着かないと感じていたのに、もうその感覚を忘れてしまった。正直、学生がこんなに広い部屋に住むなんて贅沢だと分かっていて…家賃半分の値段だとワンルームを借りるくらいのもので、その贅沢さを忘れそうになるけれど…そこに孝成さんが居るのだ、少し、いや大分、運を使ってしまっている気がする。

薄いドアの向こうでシャワーの音が響いた。俺は慌てて着替えとタオルを用意して布団を整え、そわそわしながらテレビに視線だけ向けた。意識は全く向いておらず、頭の中はこのあとのことで一杯だ。ちょうど番組が終わり、ニュースへと切り替わる。
アナウンサーは硬い表情で時事問題を取り上げ、期待して熱くなっている今の自分には心地よいくらいの温度差だった。



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