08


誤魔化せないほどの涙がぽたぽたと、孝成さんの顔や肩に落ちていく。

「泣き虫だな〜」

「ごめ、な…さ、」

「気持ち良くない?」

「めちゃくちゃ…気持ちいいです」

「うん、俺も」

「いた、く…ないですか」

「痛いよ、そりゃ。でも葉月も痛いだろ」

「俺は…」

「想像はしてたし、勃つ前の見たことあっても、やっぱり、ここまで大きいと苦しいよ」

「っ、すみません、一回抜きますか」

「はは、それはダメ」

ゴムをつけて押し込んだ孝成さんの中は、熱くて窮屈で溶けてしまいそうで、けれど感じたことの無い幸福感で胸が一杯で、口を開けば好きだとか大事だとか、そんな言葉ばかりを吐かせた。

「ちゃんと気持ち良いから。葉月がここにいるって、」

体勢を変え、じんわりと繋がった部分が馴染むまで時間をかけて、緩く腰を動かすと四つん這いでお尻をこっちに向けた孝成さんの背中がしなる。ずっと追い続けた背中に覆い被さってぴたりと胸をくっつけると、試合中みたいなお互いの鼓動が重なった。

「葉月、おもい…」

「ごめんなさい、でも、」

「っ、い…、あー…」

「すみませっ、」

「そ、こ…あんま擦らないで。お腹破れそう」

孝成さんは苦しそうな声を吐きながら、握っていた手元の枕に額を擦り付けた。力が入らないのだろう、腰も、持っていなければ上手く律動できない。

「膝、伸ばしていいですよ」

「、ん…」

「っ…たか、なりさん…」

「は、っづ、」

「孝成さん、たか…り、さ…」

「う、っ、あ…はぁ、あ」

「たかなりさん、」

「んっ、んん…」

こんな声を出すのか、きっと他の誰も知らない孝成さんだ。僅かに赤く染まったうなじに唇を押し付けると、浮き出た頚椎の感触にまたぞわりと興奮した。

パチュ、となんとも卑猥な濡れた肉のぶつかる音が段々大きくなる。その度に噛み殺しきれない声が小さく響き、それを掬うように顎に滑らせた指で唇を撫でる。そのまま顔を寄せてキスを落とすと舌を出した隙間からまた声が漏らされた。

「っはぁ、ごめんなさい、俺、も…」

「ん、うん、っう…」

布団に押し付けられている孝成さんのモノへ手を伸ばし、狭い隙間で扱きあげると勃ちきらなかったそれが硬くなった。俺が達する前にとぷりと精子を吐き出した感覚に、目の奥がチカチカして、それからすぐに俺も果ててしまった。




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