転校生と俺2 (2/2)


「あー…、なんつうか、 」

疲れた。いつもそうだった。学校に行くのは疲れる。あいつら、俺のことを理解しようともしないくせに、俺に擦り寄ってくる。そういうのは、ほんと勘弁してほしかった。
ろくに授業に参加しねえくせに、そこそこ勉強はできるもんだから、周りからの反感は大きい。ふざんけんなっての、陰でコソコソやるより勉強しろよ、勉強。
ふと、夏目のことを思い出した。
小さいマフラーを巻いたあいつは、孤独なんだろうか。孤独。疎外感。一人ぼっち。そんなふうに、思ってんのかな。夏目の目に見えたあの悲しみは、誰も包んでくれないのだろうか。
なんだか俺はそのとき、とてつもない虚無感に襲われた。虚無感、というより。なんだか押し潰されるような感じもした。

俺は自然と起き上がり、クローゼットを漁っていた。夏目はまだ外にいるのだろうか。あの寒そうな格好で。朱色の丁寧に編まれたそれを見つけて、俺は少し頬が緩んだ。
弟がいるからだろうか、俺が夏目に世話を焼きたがるのは。たぶん、そうだな。そう考えながら、俺はもう一度外に出た。


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テーマ「人外ファンタジー」
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