心の奥で最後の糸がプツリと切れる音が聞こえた。瞬間、骨のような身体を抱き寄せていた。意外にも柔らかくて温かい第一位の薄っぺらな体は紛れもなく、普通の女の子で、無能力者と超能力者という壁を感じていた青髪ピアスは思わず、ふっと小さく自嘲を含めた笑みを零した。

「なんや、一方通行ちゃんも可愛いやん」
「ち、ちゃン……っ!?」
「うへへ、良い匂いがするわぁ」
「ひっ……、離せあほばか死ね殺すぞくそ変態野郎ォ!」
「いーやーだ」
「死ね!」

悪態をつきながらも頬を真っ赤に染めて、上目遣いでこちらを睨む。威厳のいも感じられないその涙ぐんでいる赤と、お腹あたりに密着する控えめでも柔らかな胸に青髪ピアスは更に気を良くして、今度はギュッと強く抱きしめた。

「なぁ、名前教えてぇな」
「死ね」
「僕の名前も教えるわ」
「死ね」
「そんで、同じ苗字にならへん?」
「死……はァ?」
「僕と結婚しよ」

死ねを繰り返し吐き出していた百合子の唇は、閉口した。ぱちぱちと何度かまばたきさせ、青髪ピアスの唐突のプロポーズがあまりにも馬鹿らしくて、何よりお前まだ18になってないだろうという突っ込みは敢えてしないでおこうと百合子はくつくつと笑みを落とした。

「お前、ほンと馬鹿だな」
「それが僕のたったひとつの取り得や」

百合子の細い両手が青髪ピアスの首に回り、ワイシャツの襟をつかんだ。その手に力がこもって引き寄せられるその前に、青髪ピアスは自分から唇を合わせた。


/僕らを掻き立てる独占欲