板ログ/サルベージ

『板』にあったログをサルベージしました。
結構、小ネタを書いていたようです。この中でぴよ燐は続きを是非書きたいです。


※アマ燐、リリカルになり損ねた童話(笑)



地の王が嫌悪感丸出しで目の前の男を見つめた。
「そこまで厭そうにしなくてもいいんじゃないのか?」
不服そうに頬を膨らませるその顔はアマイモンが慕う兄メフィストに似ていなくもない。
「氣の王・・アザゼル・・・」
「ハイハイ。お遊びはここまでだ。それにしても、八候王の位も悪魔としての生も捨てて物質界に行く・・・などと言うから、それって寓話の人魚姫そのものだろう?愛しい王子様はお前のことを振り向いてくれるかね?」
含み笑いながらアザゼルが指を鳴らす。何が変わったのか分からないが、身体が重くなったように思った。
「死なない身体から、死ににくい身体になったよ。ちなみにクーリングオフは利かないからな。メフィストを頼っても無駄だぞ」
楽しそうにアマイモンを見ている。
「せいぜい、面白い見世物として俺を楽しませてくれよ」
「貴方を楽しませるために願ったわけじゃありません」
不服そうに顔を顰める地の王。薄い水色の瞳が眇められる。
「だが、俺にとっては最高の見世物だ。はっはぁ〜」
アザゼルの嘲りを背に受けてスタスタと虚無界を後にした。
『これで兄上の結界も越えられる・・・』
正十字学園を目指して・・・。



※雪燐、イメージソングに基づく悲恋・・カナ



「兄さん」
テーブルの上にあるのは懐かしい笑顔の燐の写真立て。15歳の夏、みんなで海に行ったときのものだ。あの時はクラーケンを退治して燐がイカ焼きを大量生産して、海岸で売りさばいていた。収入はすぐにメフィストに見つかって、マージンを八割も取られて滅茶苦茶怒っていた。
「兄さんは太陽みたいな人だった・・ね」
メガネの奥で青い瞳が細められる。追想は美しく、今も鮮やかに雪男の脳裏にある。
その表情が曇る。
あの日。
この胸に消えない傷を刻んだ兄は虚無界へと落ちた。
瀕死の重傷を負いながらも、雪男は兄の名を呼び続けた。

好きだった。
誰にも渡したくなかった。
自分の物にしてどこかに閉じ込めておきたかった。
「僕だけを見ていて欲しかったんだ・・・兄さん」
だが、燐は虚無界へと消え、物質界にはつかの間の平和が訪れた。
「僕にはこんな退屈な箱庭は要らなかった。兄さんだけが入れば、ただそれだけで良かったのに」
僕は嘘をついた。
兄さんも嘘をついた。
お互いの嘘が本当を塗りつぶして、すれ違わせた。

「いつまでも待つよ、兄さん」
貴方が帰ってくるまで、ずっと、ずっと、待っているよ。




※メフィ燐、バトロイにある止まり木、その後をちょこっと(笑)TV『嵐にしやがれ』に影響されてます、な。



カウンター越しに細身のタンブラーにミントをこれでもかと入れて軽く押しつぶす。氷を入れてから炭酸水を注ぎ、炭酸を抜くために攪拌する。最後にラム酒を入れてバースプーンで適度に掻き混ぜる。攪拌過ぎると氷が溶けて水っぽくなる。
「よし」
作る間の一部始終を凝視していた男の前に、出来たカクテルを出す。
「どうぞ、理事長」
「ありがとう、燐君」
メフィストが珍しく、燐の名を呼んだ。
文豪ヘミングウェイが愛したキューバのカクテル、モヒート。




※単行本6巻の表紙裏四コマ 裏妄想



「・・・おう、志摩。・・珍しいな、なんだ?」
背中を撫で上げてくる掌に、声が引き攣らなかっただろうか。燐は焦りながら耳を澄ますが、電話の向こうの志摩は気付かなかったようだ。
『奥村君、あんな』
いつも明るい志摩らしくない真面目腐った・・・よく言えば真剣な声音。
『俺、今、今年最大の危機に直面してるんよ』
シャツの中に入り込んできた指の腹が乳首を掠めるもんだから、俺は息を呑んで快感をやり過ごさなければならなかった。
「は?」
上の空で返事を返す。
『もう坊と子猫さんにも見放されて、奥村君だけが頼りなんや』
志摩の後ろからジージーと蝉の鳴く声が聞こえている。良く聞こえなかったが、『頼る』という言葉だけがかすかに聞き取れた。
「?何・・っを・・・頼るっ・・だよ?」
とうとう、両腕で脇を掬い上げるようにされて、親指で乳首を撫でられる。肌が粟立つ。空いた手で抵抗を試みるが、相手は全く動じない。
『この電話を切らんで欲しい』
「は?」
『俺がこの苦難を乗り越えるまで、ずっと声を聞かせて支えて欲しいんや・・・簡単やろ?』
俺はどんな深刻な話かと思って聞いていたが、なんだかどうでもいい話のようだ。
「え・・・簡単じゃねぇよ」
とうとう、ベルトを緩めてジッパーをおろされる。
も、ダメだ。
「もっと頑張れ」
携帯の切断ボタンを押す。
通話マイクからツーツーという切電を告げる音がして、その携帯の角で相手を殴りつけるが、堪えた様子はない。
それどころか手にしていた携帯を取り上げられた。
「余裕ですね?」
相手にされなかったことが不満だったらしい。
俺は溜息をついて、キスをする。
「これからなくなるんだから、いいだろ?余裕くらい」




※クリアファイルネタ メフィ燐
無題


メフィストがふと車窓を見ると、歩道を歩く後姿に目を留めた。
「おや、あれは・・・」
リムジンを停めて車外へ。
後ろから忍び寄ると、前を歩く小柄な背中が少し猫背気味に右へ左へと揺れながら歩いている。いつも尻尾でバランスを取っているせいか、頼りない歩き方だ。
「全く・・・奥村君は・・」
プククク。含み笑ってふらふらしている背中に抱きつく。
「わわっ、なんだ??メフィストォ?」
「ハイ、私です」
上背のあるメフィストに抱き付かれると、その腕の中にすっぽりと納まってしまう。
・・・気に入らない。
そうされると凄く安心するんだけれども、同じ男としての矜持が納得できない。
「なんのようだよ」
「特に用はありませんが、恋人を見かけたので抱きしめてみました」
「!!!!!!!!!」
燐の驚愕に気分を害し、メフィストの顔が曇る。
「そこまで驚かれるとは心外ですね」
「・・だだだ・・・だってよぅ・・・」
不満げに持っている傘のトリプルアイスクリームの柄でピンクに染まった頬を突いてみる。
「なんだよぅ」
口を尖らせる燐に自分の帽子を被せる。
「のわっ、前が見えねぇ・・・、これ、ぶかぶかなんだけど」
「燐の頭はちっさいですねぇ」
「・・・人の気にしていることをズケズケと・・・」
悔しそうにメフィストを見上げる。その見上げなければならない慎重さが悔しい。
「どこに行くつもりだったんですか?」
「・・・・お前ん家・・・」
メフィストがその小さな呟きを聞き逃すはずがない。
「プククク・・・それでは行きましょうか」
燐の肩を抱いてマントの中に隠してしまう。こんな可愛い生き物を衆目に晒しておくわけにはいかない。
「ど・・・どこに?!」
「私の家に。・・来るのでしょう?」
断られるとは露とも思っていない翡翠の瞳に覗き込まれて、白旗を揚げる。
「歩くのやだ」
「我が侭ですね。プククク、では、私の車で」
「あの、ピンクか?」
「他にもありますが、ボディの色はアレだけですよ」
「・・・おまえの趣味には付いていけねぇ・・・」
燐が溜息をつく。しかし、肩に回されている腕を解く気にはならない。
「それじゃあ、行きましょう、燐君」


・・・続かない。




※アマ燐、TV16話から脱線。メフィストやアーサーも出て、わいわい。



「燐を燐と呼んでいいのは僕だけです」
「は?」
気絶した燐を抱きかかえたままのしえみは、強烈な殺気に縫いとめられる。
「燐から離れろ、女」
気後れしたのは一瞬で、しえみはきっと相手を睨みつけた。
「貴方は誰?燐の何?」
「僕は燐の兄のようなものです」
「・・お兄・・・さん?」
きょとんと相手を見る。
朝焼けに照らし出されたその姿は少年のようだが、黒く長い爪と少し変わった髪形の悪魔がいた。
「『地の王』、アマイモン!!」
後ろで雪男が唸るように呟く。
「地の・・王??」
「いい加減に燐から離れろ」
アマイモンは苛立った声でずんずんと近付いてきて、燐の襟首を掴んでしえみから奪う。
「ちょっと・・なにをするんですか、お兄さん」
しえみがとっさにアマイモンに抗議の声を上げると、一同が固まった。
「お・・お兄さん??」
ぶふっ。
また、志摩が噴出して、子猫丸が口を押さえる。
「同じ轍を踏む気ですか?志摩さん」
「す・・すんません、子猫さん。つい」
恐る恐るアマイモンを見るが、二人のことは歯牙にもかけず、目を細める。
「お前に『兄』呼ばわりされる覚えはないんですけど?」
燐を軽々と肩に担ぎ上げたアマイモンがしえみを睥睨する。
「だって、燐のお兄さんなんでしょう?」
「それが?」
「燐のお兄さんを、お兄さんって呼んで何が悪いの?」
しえみの真剣そのものな問いに答えるものは誰もいなかった。
「面白いことになっているようですね、私も混ぜていただけますか?」
先程からの押し問答に終止符を打ったのはメフィストだった。
「地の王よ、奥村燐をどこに連れて行く気だ?」
メフィストはあくまでも他人を装うつもりのようだ。
アマイモンは燐を姫抱っこに抱き替えて大切そうに頬ずりする。
「お持ち帰りします」
「申し訳ありませんがテイクアウトはやっていないのですが?」
「厭です。もって帰ります、虚無界へ」
「チッ。聞き分けのない・・・」
メフィストは頑なな弟に苦虫を潰したように顔を顰める。
「それでは、これにて失礼します」
アマイモンが飛躍しようと腰を低くした時、頬にピリッと痛みが走り、静かな怒りを宿し振り返った。
雪男が威嚇射撃を放ち、そのまま、銃口を地の王の眉間に据える。
「人間風情が・・。殺されたいようですね」
ゆらりと『地の王』の残像が揺れたかと思うと、既に雪男の目の前にいた。黒く長い爪が雪男の目に伸びてきた。
抉られると思ったとき、目の前に分厚い物が視界を遮る。
「私を除け者にしようとは、舐められた物だ」
「僕は君みたいな不味そうな物を舐める気はありません」
カリバーンでアマイモンの爪を防いだアーサーが雪男の前に立ち塞がっていた。
「燐ならいくらでも舐めてあげたいですけどね。何処とは言いませんが」
「悪魔同士で何をしようと勝手だが、その青焔魔の落胤は置いていってもらおうか」
「だから、厭ですと言いました」
ベロンと舌を出す。軽々とバックステップで距離を置き、アーサーの剣戟の影響範囲から離れる。
「メフィストフェレスの尻尾を掴んだんだ、証拠物件を隠滅されては、少々困るのだ」
「失敬な。紳士たる私が尻尾を見せたりするものですか」
アーサーの言葉に憤慨するメフィストは置いておいて、アマイモンが逃げようとするのを、雪男の銃弾が再び威嚇する。
「だから、逃げるな『地の王』。兄さんを置いていけ」
眼鏡の奥の瞳が焔のように青く揺らめく。
「だから、何度も言わせないでくれませんか。燐は僕の物ですから、虚無界にお持ち帰りします」
「あの・・・燐のお兄さん・・」
「はい?」
しえみに呼ばれて返事をするアマイモン。燐の兄と認められたのが、ちょっぴり嬉しいらしいことは、メフィストだけが感づいていた。
「あの・・なんで、燐を虚無界に連れて行くんですか?」
「杜山さん、よう、あのデッドゾーンに踏み込めるなぁ・・・」
志摩が感心する。
「僕なんか足が竦んで動けません」
子猫丸が力なく笑う。
「若先生もよう頑張ってはるが、押され気味やしな・・・」
勝呂も苦笑いする。
「本当に馬鹿ばっかり。あの聖騎士もちょっと頭弱そうだし・・」
投げやりに出雲が溜息を吐いた。
「兄さんを返せ!!」
雪男が叫ぶ。
「返せといわれて、はいどうぞと返すわけがないでしょう」
呆れたようにアマイモンが応える。
「その証拠物件を置いていけといっている、悪魔がっ」
アーサーが目にも止まらない速さでアマイモンに接近し、カリバーンを振り上げる。
「ただの悪魔じゃないんですが・・・」
アマイモンは焦った様子もなく、カリバーンを指一つで受け止める。
「本当に人間ごときが僕を倒そうなんて・・・、ちゃんちゃら可笑しいですね」
左足を高く掲げ幅広のカリバーンを横から蹴り飛ばす。燐を抱きかかえているとは思えない動きだ。
「んと・・・日本ではなんというのでしたか」
小首を傾げて言葉を捜す。
「ああ、へそで茶が沸きます・・でしたね」
自信満々にアマイモンが言う。
微妙に違うが誰も訂正しなかった。
「理事長、あれ、あのままにしはるんですか?」
坊が傍観者を決め込んでいるメフィストに尋ねる。
「そうですねぇ・・、もう少し見物するのも楽しそうなのですが、放っておくといつまでも埒は開きそうもないですねぇ」
「おい、メフィスト。このままだと、懲戒審問だぞ。燐だって無事じゃすまない」
シュラがイラつきながらメフィストを睨む。
「分かっています。そろそろ、話を本筋に戻す必要がありそうですね」
メフィストは徐にシルクハットを脱いだ。縁をとんとんと叩くと無尽蔵に白い鳩が飛び出してくる。リズミカルに帽子の縁を叩き続け、数え切れない白鳩が周囲を埋め尽くす。
「メフィストフェレス、貴様、やはり証拠を隠滅する気か?!」
「そんなことはしませんよ、アーサー。取り敢えず場を治めるためのマジックですよ」
「サタンの落胤は誅滅する」
「させませんよ」
鳩に視界を塞がれながら、すぐ横から聞こえた声にアーサーは舌打ちをする。
声とともに蹴りが聖騎士のこめかみに決まる。
『いい加減にしろ、アマイモン』
悪魔同士の心話で怒りを抑えない言葉に力を込める。
『兄上は平気なのですか?このままでは燐は・・・燐は・・・』
『私がそのようなことにはさせない。私を信じられないのか?』
『・・・分かりました・・』
不承不承アマイモンは燐を地面に降ろす。
『お前にはもう一芝居打ってもらうからな』
プククク。

本当に続けませんから(笑)




※育成SLG出来ました(笑)チャットで出たネタをお持ち帰りしました。ぴよ燐は可愛いです。



ここに卵というにはちょっと大きな鳥のものらしい卵があります。
草叢の中、親鳥はいないようです。
白い殻は青白く輝いていて、まるであなたを誘っているようです。
そっと近寄ってみると、突然卵がゆれ始めました。
かつっ。かつっ。
中から殻を破ろうとしている音。
卵自体の揺れも大きくなって、
やがてとうとう外側にも亀裂が・・・。
ドキドキしながら、どんな鳥が現れるのか固唾を呑んであなたは待っています。
小さな穴が開きました。
そこから指らしき物が見え、小さな手が殻を外へと押し出していきます。
そうしているうちに卵の皹は段々と大きくなり、とうとう大きく割れて中からころりと雛が転がり出てきました。
まだ、お尻に大きな殻が張り付いています。
どういった鳥なのでしょうか?
見た目は黒。
でも瞳は吸い込まれそうな青。
そしてその身体を包む青白い焔。
お尻に張り付いた殻も羽毛も焼け焦げたりはしていない。不思議だ。

「ぴよ?」
首が痛くなるほど燐はそれを見上げた。
いろいろな音が耳の中でぐわんぐわんと反響している。
酷く不安を掻き立てられて、もう一度燐は鳴いた。
「ぴよぴよ」
生まれたばかりの蒼い焔を噴くひよことあなたの物語。

・・・なんてデモがあったら、クレジットカード握って量販店へGoだぜ。

おっきくて動くもの。
頭の天辺が尖がってる。
名前はアマイモン。
これが俺の親だ。
「ぴよ」
ゆらゆらと蒼い焔が視界を埋める。アマイモンの緑色の頭も蒼く揺らめく。
「ぴよぴよ」
アマイモンはおっきいから、凄く歩くのが早い。俺は一生懸命付いていく。親に見離されたら、俺は生きていけない。
だって、生まれたての雛だから。
「ぴよぴよ」
必死にアマイモンを呼ぶ。でも、アマイモンは振り向きもしない。
『気付いてよ。気付いてよ』
「ひよひよ・・・ひ・・よ・・・」
歩くというよりは走るに近い小さい歩幅では、アマイモンに追いつけない。鳴いて、鳴いて、気付いてもらおうと思ったのに・・・、アマイモンは立ち止まってくれない。もう、息が切れて鳴くことも出来ない。アマイモンの背中が遠くなる。置いて行かれる。
『置いて行かないで、独りにしないで。一緒にいて』
「・・・ひ・・よ・・・・ぃ・・ぉ」
『ああ、もうだめだ』
ふらふらとした視界が暗くなる。アマイモンの背中は遠くて。足がもつれて顔から地面に突っ込んだ。・・でも、痛くない。
『なんで??』


気が向いたら更新。
『貴方』はアマイモンだったらしい・・・(笑)

2011/11/28

コメント:
いかがでしたか?板を撤去するに当たって、せっかく思いついたネタ位は拾っておこうかなぁ〜と思った次第です。結構、ありました。やっぱり、ぴよ燐がお気に入りですね。ぴよぴよ〜

[ 39/48 ]

[*prev] [next#]
[top]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -