short | ナノ


▽ やわらかな休日


大好きな彼氏がいます。すごーくかっこよくて私の自慢。彼は高校1年生のときの3年生でマネージャーをしてた部活で出会った。ほぼ一目ぼれに近かったと思う。私には漫画見たいにキラキラと輝いて見えて、付き合えたときから今までその気持ちは変わることはない。

「久しぶり!京治君っ!」
「久しぶり。」

ドアを開けて飛びつくと京治君はしっかり受け止めてくれた。彼が社会人になってから会う時間はやっぱり少なくなってしまって今日は久しぶりのお家デート。少しさみしいけど仕事を頑張ってる彼を応援したいって思う。

「マナ、今日家でやらなきゃいけない仕事があって少しだけやらせてもらえる?ごめん。」
「大丈夫だよ!仕事大変そうだね。無理してない?」
「大変は大変だけど、やりがいあるよ。」

急いでやるから少し待っててと言って京治君はパソコンを開いくとカタカタと仕事を始めた。私はなにしてようかな。うん、今日は天気もいいしまずは窓を開けて、コーヒーを淹れてこよう。
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「マナ。」
「なに〜?」
「静かにしてくれてすごく有難いけどそんなに見られるとちょっとやりにくいかな。」
「な、なんで分かったの!?」
「背中にすごい視線感じた。」
「ごめんっ。仕事してる京治君かっこいいなぁって。」

気がつくと京治君の背中を眺めて時間が経っていた。だって真剣に仕事してる姿すごくかっこいいんだもん。くるりとこっちを振り返った京治君は困ったように笑って手招きをする。誘われるがまま目の前まで行くと伸びてきた手が頭にまわり、おでこにリップ音と柔らかな感触。

「っ!!」
「はは、マナ真っ赤。待たせてごめん。もう少しだから。」

突然こういうことをするのはズルいと思う。付き合ってだいぶ経つけど今だにこの熱に慣れることはない。きっとこれからもずっと変わらない。ニヤけ顔を見られないように元の場所に戻って赤くなった頬を押さえながら私は近くにあった雑誌を手に取るのだった。それでも雑誌の隙間からチラチラ見てしまったのは京治君には内緒。

それにしても今日はポカポカいい天気。ゴロンと寝転んで感じるのはお日様ととても気持ちのいい風。なにがいいたいかって、だんだんと眠気が襲いかかってくる…京治君が頑張ってるからお昼寝なんてするわけにはいかないのに…

**

「んっ…」

やばい、私寝ちゃってた…?

カーテンの隙間から漏れる光が見えて少しずつ意識がハッキリしてくる。顔だけあげるとさっきは見えた京治の背中がなくなって、背中に感じる体温を感じると腰に手が回されていることに気がついた。

「…マナ起きた?」
「今起きたよ。」
「マナ見てたら俺も眠くなっちゃったんだよね。」
「え〜見てたの?」
「まぁね。だって俺のTシャツ掴んだまま寝てるから可愛くて。」

それだけいうと小さな欠伸とともに私の首に顔をうずめる彼。柔らかい彼の髪が肌に触れて、くすぐったくて身をよじれば動かないようにと回されている腕にギュッ力が込められる。

「ごめんね。京治君頑張ってるのに私寝ちゃったりして。」
「いいよ。俺もせっかく久しぶりに会えたのに仕事なんてしてごめん。天気いいし出かける?」
「でかけたい!ですっ」

くるりと身体を反転させて思わず勢いづくと京治君は目を丸くして吹き出した後分かったと笑った。久しぶりの外でデート!嬉しすぎる。起き上がろうとしたらグイと手を引かれて再びすっぽり腕の中に収まった。どうしたのかと視線を上げると回された腕に力がこもる。

「もうちょっとしたら起きようか。」
「今じゃないの?」
「まだこうしてたい。」

間近にある京治君の顔が近づいてキスが落とされた。そんなことされたら急かすわけにもいかないし私だってもうちょっとくっついてたい。だから私は彼背中に手を伸ばしてもう一度目を閉じる。幸せだなって思いながら。


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