Clap



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お礼文A3茅ヶ崎至冬ss
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注*イベスト聖夜のkiss〜の設定です。





公演のあと、貸し切りになったスケートリンク。すごく楽しみにしてきたのに、至さんはちょっとやっただけですぐ帰ろうとしてしまって。それでもなんとか引き留めて今は一緒に滑っている。私は至さんに弱いけど至さんも私に弱いんじゃないかなって最近ちょっと気がついた。

「なんでそんなに滑れるの…」
「小さい頃やったことがあって。至さんはまずは手すり離さないようにして一歩ずつだよ!」

スイスイと滑るみんなを横目に見ながら子鹿よりも足が震えているんじゃないかっていう至さん。運動苦手とは聞いていたけど手すりを掴んでいるのに進めないその様子が面白すぎて無意識に口元が緩んでしまう。

「こ、転んだ方が上達するのかも…?」
「もはや転び方すら分からない。」
「がんばって!」
「こういうのってさ、普通逆だよね。キャーとかいう彼女を彼氏がリードするっていう。だから来ないでって言ったのに。」
「あはは、だっていづみさんがせっかく誘ってくれたから。」

眉を寄せて恨めしそうな目を向ける至さんに笑ってみせてとなりに並ぶ。もう靴脱ぎたいというわりにがんばっているところが可愛いなと思いながら真剣なその顔を見ていた。

「でもさっきより膝の震えなくなってきたから少し慣れてきたのかも!」
「リンクに降り立ってだいぶたちますから。ちょっと手貸して?」
「えぇ…」
「信用度ゼロの彼氏。」

共倒れする予感しかしなくてちょっと戸惑うと捨てられた犬のような顔で俺も真ん中に行ってみたいと言うものだから両手を差し出した。するとゆっくりではあるけど意外にも大丈夫そうでリンクの真ん中まで滑ることができた。というか私が手を引いて滑らせてあげた。

「飛んだり回ったりあいつらなんなの人間なの?」
「ふふ、みんなすごいね。」

真ん中から見渡すと楽しそうに滑るみんなの様子がよく見える。三角君や真澄君なんてくるくる回っていて本当のスケーターみたいですごい。なんて、ちょっと目を離したすきに立っているだけなのに至さんがバランスを崩して私の腕を掴んだ。

「ちょ、」
「やば…」

膝から崩れるように2人で転んでしまって、起き上がろうとしたら至さんが私の肩に手を回しぎゅっとしがみついた。

「至さん!?」
「はーあったかい。」
「立てないよ!みんなにすっごく見られてるし…!」
「ちょっと体力の限界。休憩させてお願い。」

動こうにも下が氷のせいでうまく動けず疲れてるはずの至さんは押してもびくともしてくれない。そしてここは1番目立つリンクのど真ん中だからみんなの視線が突き刺さる。

「私は恥ずかしさの限界なんだけどな…」
「気にしない気にしない。」
「気にするよ!」

寒いと言う至さんに対して私は真冬とは思えないほどどんどん熱くなっていく。少し体を離した至さんは私の顔を覗き込むように視線を合わせて笑った。

「氷の上で2人、ちょっとロマンティックじゃない?キスでもしちゃう?」
「し、しません!」

相変わらず困らせることばかり言う至さんとそんな押し問答をしていたとき、氷についていた足からすっかり冷えてきていて思わず身震いをした。そろそろ立ち上がらないと寒くて足が動かなくなりそうだ。

「寒いからあがろう?」
「俺もそうしたいんだけど…ごめん、どうやって立てばいいの?」

外からみたら抱き合って至近距離で見つめあっている私たちはいい雰囲気に見えたかもしれない。でも最後の言葉でそんなもの全部ふっとんでしまって目を見開いた。そのあと三角君に担いで救出されるまで至さんは抱きついたまま離れてくれないのだった。