望む先のもの





呼んで呼んで、名前を呼んで。
(呼んで、呼んで、呼んで)

確かな物が欲しくてその温もりに縋る。
愛してる、なんて言葉じゃ足りない位に求めてしまう。
欲しいのは言葉で、欲しいのは行動で、欲しいの存在自体で。
全部全部欲しいのに、アンタは欠片しかくれないから。
(何の拷問だろう、と苛立つのは餓鬼な証拠なのかも知れない)
欲しい、欲しい、アンタの全てが欲しい。
視線を向けるのは俺だけで良い。
低音で呼ぶのは俺だけで良い。
指先で触れるのは俺だけで良い。
抱き締めるなんて、それこそ俺だけを。
いっそ銃口を向ける相手も俺だけで良い、なんて莫迦げた考えが容易に脳内を巡る程に思考はその赤に侵されている。
平等では決してない関係。
こんなにも求めているのは俺だけで、こんなにも想っているのも、きっと俺だけ。
それは敗北であり、裏腹に何処か優越を孕んだ感情。
(アンタには、俺がアンタを想う様に俺を想ったりは出来ないだろ?)

「なぁ、」





【呼び掛けたその先、欲するもの】



(その声で呼んで、存在を刻んで)



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