青い星の少年




青い星に生まれた少年は、とても澄んだ目をしていた。
子供故か、それとも彼本来の気質か。
どちらにせよ、自分が遠い過去に置き去りにしたものが少年の中には息づいている。
無垢とまでは行かずとも、純真なその目に見詰められれば、あの緑色の幼馴染みが罪悪感に苛まれるのも頷ける気がした。
黒々としたふたつの目は、まだ幼い顔立ちに見合った大きいもので、発せられる声は自分とは正反対と言って良い程に高い。
ねぇ、伍長。
庭で銃器を磨いていると、不意に高いが耳障りではないその声が耳朶を掠める。
一度大きく瞬きをして、少年は躊躇いがちに口を開いた。
縁側に腰掛けた少年の黒い髪が、冷たい風に鈍く揺れた音がそれと重なる。

「あのさ、ひとを殺すのはどんな気分?」

少しばかり辿々しく紡がれた問い掛けに反して、黒々とした目は揺らぐ事なく真っ直ぐにこちら見据えていた。
冷たい風が容赦なく肌を刺す痛みが、一瞬、少年の言葉によって齎された様な錯覚に陥る。

「どんな、気分なの」

少年は膝の上に置いた両手をきつく握り締める。
細い肩が微かに震えたのが判った。





【知らずに済むならその儘で】



(引き金の重みを知らずとも、少年は命の重みを知っている)



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