■だれかふるえをとめて

不様に震える両の手。
硝煙と血の臭い。
眼前に転がる肉塊、人で在ったそれ。
「っ…、ぁ…あ、…」
小さな腕に抱かれていたぬいぐるみの暗い双眸が、責める様にこちらを見据える。

最 初 の 罪 。

(もう引き返せない)

※暗殺者パロ



■こんな始まりを望まない(幼馴染み)

夕日が沈み、やがて夜がやって来る。
その間に俺達は立っていて、仄かに明るさを残した空だけが俺達の罪を許してくれた。
幼い頃に良く繋いでいた手は、その何れもが血に塗れて汚れてしまった。
命を育む事のない枯れた大地に膝を付くひとつの影と、立ち尽くすふたつの影。
戦いの最中で俺達が得たものは何だろうか。
得たものより失ったものの方が尊く思えて、そんな現実に奥歯を噛み締める。
能天気さも、気弱さも、未熟さも、本当は自分達が思う以上に大切なものだったのかも知れない。
強く在りたい、と願うのに、血に塗れた手のひらは昔よりちっぽけで弱々しく見えた。

失 っ て 初 め て 気 付 く 。

(進む事は出来ても、戻る事は出来ないと知っていた筈なのに)



■離れたのはどちらからか(緑)

目に焼き付いて離れない赤色。幼い頃から当たり前の様に傍らにいた存在は、もう僕のものでは在りません。(まぁ、元から我輩のものじゃなかったけど)



■逃がしてやらない(緑)

視線を絡めて笑う。
愛してる、と囁く。
腕の中にきつく閉じ込めて、
「どこにもやらないよ」
唇に口付けを落とした。

(ああ、これでもう後戻り出来ない)



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