君の幸せを描いてあげる




いつかこの世界から存在が抜け落ちて、二度と君に触れる事が出来なくても、きっと俺は君を忘れられない。
好きとか嫌いとか、綺麗とか醜いとか、そんな事よりももっと滑稽で単純な仕組み。
生まれ落ちた瞬間から定められていたかの様な口振りで、指先を頬に走る傷痕へと滑らせる。
澄んだ双眸が揺らぎ、映り込んだ自分自身の軸も揺らぐ。
例えば同じ場所に生まれ落ちたのなら、なんて仮定の話を持ち出したら切りがないから、らしくもなく自分を誤魔化した。
追い付くとか追い付けないとかじゃなく、追い掛ける事すら出来ないもどかしさ。
伝えたい言葉を飲み込むなんて経験を初めて味わう。
緩やかだけど確実に腐敗して行く感覚に、もう笑う事しか出来ない。
(ああ、けど、自分を殺してでも傍にいたいと思ったんだ)
君の永遠を得る為の術を知らぬ訳ではないけれど、俺はハッピーエンドが好きだから。
目に見えなくても間際に迫る終わりに怯えながら、ふたりが笑っていられる未来を描いてみようと思うんだ。
「幸せってどんな形で、どんな色をしてるんだと思う?」
「そんなもの、ひとそれぞれ違うに決まってるだろう」
「それもそうか。じゃあ、」





【君の幸せはどんな形でどんな色なの?】



(ふたりの幸せが重なり合うなら、きっとそれこそが幸せなんだ)



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