遊びじゃなくて本気です




何度も何度も繰り返す。
(いたちごっこ、ねずみごっこ)

愛を囁いた所で返るのは怒声が殆どで、縋る様に抱き締めた所でその温もりが手に入る訳でもない。
真っ赤に染まった頬を撫でた所で指先を払い退けられて、唇に口付けた所でその瞼が大人しく下ろされる事もない。
皮肉の一つも溢そうものなら拳が飛んで来る、そんな日常の繰り返し。
切りのないそれに心地好さを見い出してる時点で既に末期だ。
(ま、苛立つ事も少なかないけどなぁ)
あのひとの低音が鼓膜を侵せば、体温が皮膚越しに伝えば、存在を確かめる様に指先で触れれば、愛しさを込めて口付ければ、苛立ちなんてものは掻き消されてしまう。
あのひとを求めて、あのひとに拒まれて、またあのひとを求める。
まるで鼬ごっこだ。
子供の遊びと呼ぶには少しばかり過ぎる忍耐が必要だが、そう変わりはない。

「せーんぱい、遊ぼ」
「…暇人め」
「先輩もなぁ?」

今日も同じ事の繰り返し。
決着の付かない不毛さを嘲笑いながらも、今日も今日とて捕らわれる。





【繰り返す事で愛しさを増して】



(最後に笑うのはどっち?)



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