(E+黄)


太陽が遮られ、陰が生まれたのが瞼越しにも判る。徐に瞼を上げれば、寝転ぶ身体を見下ろす影がひとつ。
「わんにしかられてもしらないよ」
それはまるで呪文のように紡がれ、彼は喉を鳴らして笑った。月を模した髪が陽に縁取られて輝いては、ぼやけた思考を覚醒へと導く。肩越しの青空がやけに眩しい。
「相変わらず堂々とさぼるんだから」
仕方ないなぁ、と態とらしく肩を竦め、彼は猫さながらの音のない動作で腰を下ろした。
「何だよ、連れ戻しに来たんじゃねーの?」
「連れ戻して欲しいの?」
「質問に質問で返すなよ。王の奴に叱られるぜ」
それは困るな、なんて口ばかりで、彼は楽しげに目を細めると、その儘音もなく寝転んだ。全てを投げ出すように力が抜けて行くのが見て取れる。
「ミイラ取りがミイラにって奴だな」
「そ、僕はエルに唆された可哀想な被害者な訳。怒りの矛先はぜーんぶエルに向く寸法です」
「は?」
「王のお説教長いもんね。僕の分まで宜しくー」
「いやいや、ちょっと待て」
上体を起こそうと片肘を突いたところで、ぽんぽんと子供をあやすような手付きで頭を撫でられた。
「おやすみ、エル」



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -