(D)


夢を見ていた。
まるで終わりがないかのような錯覚を引き起こす、そんな夢を。辺り一面、闇に覆われた、いや、思考すらぼやけるほどに真っ白な靄に包まれていたかも知れない。よく覚えてない。ただ、はっきりと覚えているのは、耳を撫でる咀嚼音。何かを、ゆっくりと、追い詰めるように咀嚼する音。吐き気が込み上げるほど不快なそれ。そして、その音に掻き消されそうなほど、か細い、悲鳴にも似た、( 僕 の 、)。
―――。
―夢を、見ていた。
(そう、あれが現実である筈がない)



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -