眩暈がするほどの青



空を模した双眸が柔らかな色を孕んで、間近でゆっくりと細くなる様に魅入る。
酷く穏やかな空気が肌を撫でるものだから、そのくすぐったい感触が愛しくてならなかった。
愛してる、と耳元で吐息を吹き込むように囁いて、穏やかな獣はひそりと笑ってみせる。
それがほんの少しだけ憎らしく思えて、服越しに爪を立ててやった。
「痛いよ、ギロロ君」
笑いを帯びた声が耳朶を擽る。
痛みを訴えるのなら、少しは痛がる素振りをしてみせろ、と言ってやりたかったが、おとこが酷く幸せそうに笑ってみせるので口を噤んだ。
「愛してる」
「何度も言わなくていい」
「何度言っても足りないよ」
おとこの右手に自分のそれを攫われ、指先に軽く口付けを落とされる。
微かなリップ音がやけに響き、気恥ずかしさに消えてしまいたくなった。
何て恥ずかしい奴なんだ、とおとこを責めたとて、きっと何の意味も孕めはしないだろう。

(天然ほど質の悪いものもない)



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -