瞳で語れ



抱き締めることなんて簡単だ。
(なら、)
その首を絞めることだって簡単な筈。
「今、馬鹿なことを考えているだろう」
「え、バレた?」
理由が何かは知らないが、今日は機嫌が良かった。
だから、その身体を腕の中に捕らえても咎められることはなく、幸せを噛み締めちゃったり、不機嫌に歪んだ表情も愛しく感じて、何か色々終わってる気がする。
眉間に刻まれた皺を伸ばすより、数を数える方を優先するから、それが更に機嫌を損ねちゃう訳で。
「貴様になんぞ、殺されてやらんからな」
「あらま、我が輩ってばバレバレ?」
殺気なんてものは幾らでも殺せるし、顔には出ないように出来てる。
そうすることで今まで生き延びて来た。
「何で判ったの?」
是非とも聞いて置かなければ、と小首を傾げた。
今後の参考の為にも、とは口にせず。
「そんなもの、目を見れば判る」
「…へ?」
思いがけない答えに思わず間抜けな声が出てしまった。
「殺気は感じないが、お前は目が語るからな」
「………、」
「何だ、何を呆けた顔をしてる」
「いやぁ、何か、ギロロって案外我が輩のこと見てんだなぁって思って、」
「なっ、」
「うわ、何つーの?感動?」
ギロロってばもう愛してる!と腕の力を強めると、馬鹿を言うな貴様なんぞ大嫌いだ離せ!と暴れられた。

(素直じゃないね、ギロロ君!)
(煩い黙れこの大馬鹿者がっ!)




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