想いの分だけ、
骨が軋む程に強く





紫煙をくゆらせて。
(今日も視線はアンタを追い掛ける)

アンタの指先が引き金を引く為だけにあるのなら、手を取りその指先に口付けるだろう。
忠誠を誓う従者宛らに恭しく、そっと。
そこにどんな感情を乗せようと、きっとアンタは顔を赤くして喚き散らすに違いない。
(ああ、言葉も出ないって具合に呆然とするのも考えられるな)
くつくつ、と笑いを溢しながらモニター越しの赤を指先で撫でる。
相手の動きに合わせて指先を這わせて行けば、指紋が気高い赤を汚した。
けれど、そんなのは結局何の意味もない。
自己満足にも足らない、低俗な。

「なぁ、せんぱい?」

アンタをどんなに汚そうとしても、その気高さは決して揺るがない。
アンタをどんなに汚そうとしても、アンタは戦士らしからぬ脆さを晒して笑うんだけなんだろう。
鮮明な赤、心地好く耳朶に触れる低音。
これ以上どう汚れろと云うんだ、とアンタきっとそう口にする。
それは架空のものでしかないけれど、低音が紡ぐであろう言葉を易々と想像出来てしまう事に吐き気を覚える。
自嘲するでもなく、惟、困った様に笑う戦士は何処までも孤高を貫いた儘。
その両の手がどんなに血にまみれていようとも、本質の軸が折れない限りアンタの気高さは失われない。
(俺の想像の中でも、アンタを汚せはしないんだから)

「まぁったく、アンタのがよっぽどひねくれてると思いますよ、俺は」

吐き出した溜め息とは裏腹に口元は笑みを浮かべながら、煙草の先端を灰皿に押し付ける。

「さて、行きますかね」

両腕が愛しい温もりを求めて疼いた。





【抱き潰しに行きます、待っていて下さい】



(この手で汚せないなら)
(アンタはこの腕の中にあるべきだ)



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