怖い夢を見るから、と手を繋いで眠った。
それは遠い記憶の中で極自然な事だった。
僕等の魂は互いを求め合い、互いに補う事を知っている。
母胎の中で双つに別れた僕等の魂。
そう、僕等は元々一つの存在。

「ニール、怯える事なんてないよ」

大人達が挙って天使の様な笑みだ、と讃える笑みを浮かべながら、ライルは毎夜手を握ってくれた。
触れ合う体温すら同じものだと錯覚する程、僕等は触れ合う事を躊躇わない。
二人でいれば神様にだって嘘を付けると思っていた。
(怖いものなんてないよ)
(僕等に怖いものなんてない)
指先を絡め合って、抱き締め合って、頬に口付け合って、僕等は笑い合う。
誰も僕等を引き裂く事は出来ないんだ。

「どんな事をしてでも守ってあげるから」
「なら、俺がライルを守るよ」
「そうだね、二人はずっと一緒だよ」

手の甲に落とされた口付け。
それを真似て口付けた手の甲。
盲目的な幼い誓い。

「怖い夢を見たら、直ぐに助けに行くからね」
「ん、俺も直ぐ助けに行くよ」

愛して、愛されて、幸せだった日々。





【僕等はあの頃世界の誰より幸せでした】



(なのにかみさまどうして?)




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