答えは不必要だ




間合いを詰めて肢体を腕の中に引き寄せれば、互いの距離が0になる。
骨が軋む程にきつくきつく抱き締めて、その儘抱き潰してしまえば良い。
苦しげな抗議なんか耳をすり抜けるばかりか掠めもしない。
そんな設定に徹する事にする。
服を掴み身体毎剥がしに掛かる手も腕も、俺を抱き締める為だけにあれば良いのに。
(全くこのひとは欠片も判っちゃいない)
こんなにもカワイソウな俺が、溜め息のひとつやふたつ溢した所で誰も文句は言わない筈だ。
腕の中のひとは余りにも俺の抱き締めると言う行為にケチを付けたいらしいので、イジラシクてケナゲな俺は設定を破棄して抗議に耳を貸す。
離せ触るな抱き付くな、と捲し立てた挙げ句に、もう俺に構うな、と来たもんだ。
肩口に埋めていた顔を上げて、相手と向き合えるだけ上半身を離した。
勿論、相手に巻き付けた腕を剥がす事はしないし、顔は口付けが容易な程に近い。

「き、貴様は毎度毎度何がやりたいんだっ、いい加減離せっ」
「オレアンタノイッテルコトマッタクリカイデキマセン」

言葉を機械的に吐き出す。
(アンタの言葉の意味なんか理解したくもない)
拒絶なんて、そんな物は認めない。
また何か吐き出そうとした唇を言葉毎塞いでやった。





【黙れ、聴きたくない】



(この儘窒息しちまえ、オッサン)



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