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やっぱりまだ子どもでした

変態シリーズ番外編?

『びしょ濡れだねぇ』
「……ですね」

 今日は愛しの名前ちゃんとのデートの日、だったんだけど待ち合わせ場所に来た瞬間に雨が降り出して傘など用意してなかった僕らは慌てて屋根のある場所に避難した。こりゃ参った、ついてないぜ。

「禊くん、呪われてるんじゃない?」
『やだなぁ、寧ろこうして透け透けの君を見られることだからラッキーボーイだよ』
「うわあ死んでください」

 なんだろう、最近凄く名前ちゃんの視線が冷たいような気がする。そんな視線を傾ける名前ちゃんも可愛いから良いんだけどね。というかこうしてまともに会話するのは久しぶりだ、僕自身がずっと就職活動やら進学活動で僕忙しかったからお互い会うのは避けていたからなあ……ま、結局全部ダメだったんだけどね。……虚しくなるからやめよう。

「どうします?」
『僕の家行こうか』
「近いですもんね、お邪魔したいです」

 ハンカチで頭を軽く拭いて名前ちゃんは呟いた。ここは普通恥ずかしがるところなんだけどなぁ、まあ何回もお互いの家を行き来しているからもうそんなもんないか。ちょっと悲しいかも。

『よし、じゃあ走ろう』
「え、待ってさすがに!」

 有無を言わさず名前ちゃんの手を取って僕達は冷たい雨のシャワーを走り抜ける。



「お風呂有難う御座いました」
『どーいたしまして!』
「でも、服これしかなかったんだけど……」
『うん。』『ワザと』
「うわあ計画的だったか」

 お風呂を貸してあげて、湯上りの名前ちゃんの服装は僕のシャツと短いショートパンツ、つまりは彼シャツ。体格があまり変わらないからだぼだぼ感はあまりないけど普段僕が着ているシャツを愛しの可愛い名前ちゃんが着ているということだけで僕を興奮させるには十分だ。

『一生洗わないようにしよう』
「洗って返しますから」
『名前ちゃん酷い!』
「あ、こら服引っ張るな変態!」
『久々に会ったんだからもっと優しくして!』『僕泣いちゃうよ!?』
「あー……えっと、」
『……?』
「……禊くん、お疲れ様」

 僕の言葉が効いたのか、ソファに座っていた僕の隣に控えめに座り込んだ名前ちゃんは、そっと目を伏せて僕に抱き付いてきた。湯上りで身体が仄かに暖かいし、普段使っているシャンプーの匂いが鼻腔を擽って思わずゴクリと唾を飲む。
お疲れ様、というのは進路活動のことかな、彼女の口からこんな言葉が出るとは思わなかった。全部落ちた、と言った時も「ですよね、まあ、これから頑張りましょう」と言ったのに。

『名前ちゃん?』
「本当は、少しだけ、……中々会えなくて寂しかったんです。これくらい許して下さい」
『……』

 全部終わるまでは極力会わない様にしようと約束してたんだっけ。会ってないのは数ヶ月、たまに顔を合わせたりしていたらから大丈夫だと思っていたんだけど、彼女には結構堪えていたらしい。普段甘えてこない彼女が急に甘えたになって、興奮を通り越して愛おしさがこみ上げてきてその細い身体を包み込む。

『うん。我慢させてゴメンね』
「……禊くん」
『なあに?』
「好き」

 なにこの子可愛い天使か、ああ天使だったか。胸の奥辺りがきゅうんと鳴り響いて身体が熱くなった。これ本当に名前ちゃんなのだろうか、我ながら疑いたくなって来た。

『名前ちゃん、今日は甘えただね』
「だって、ずっとこうする事出来なかったですし」
『そうだけど』『なんか吃驚してる』
「元々、結構甘えん坊ですよ」

 身体から離れようとしない名前の柔らかい髪を撫でれば、ぴくりと跳ねたけどそのまま大人しく僕に擦り寄る。甘えられている僕は、もう満足過ぎて何も言えない、可愛い、本当に可愛い。しかも服は僕の服だし。

『名前ちゃん』
「え、」

 名前を呼んで、頬を持ち上げれば顔を真っ赤にした名前ちゃんと目が合う。昔よりも、視線が交わる回数は多くなった。ぼんやりと僕と見つめる名前の柔らかい唇に自身のも押し当てて啄ばむようにキスをする。

「んっ……」
『っ、ちゅ……甘い』
「……先輩の、馬鹿」
『かーわいい。好意を見せてくれたから』『応えようと思ってね』
「こ、好意というかなんというか、先輩が就活や進学活動の時は邪魔しちゃ悪いと思ってお互いあまり会わない様にしようなんて言っておいてあれだったんですが、私結構寂しかったんです。というか三日目くらいで我慢の限界来ちゃって結構危なかったんですよいやまあ迷惑かけるわけにはいかないから鴎でストレス発散していたんですが、あ、いやこれはあれです、……ああもう、本当に寂しかったんです!」

 堰を切ったように喋ったかと思ったら、今度は瞳を潤ませて更に強い力で僕に抱きつく名前ちゃん。いきなりのキスでかなり戸惑っちゃったかな、申し訳ないことしたかも。でも本音を聞けて嬉しい、本当に今日は吉日だ。

「禊くん、今日一日ぎゅっとしてて良いですか」
『全然構わないよ』『というか、泊まっていく?』
「!」
『?』『名前ちゃん?』

 冗談交じりで言ってみれば、名前ちゃんは顔を勢いよくあげて僕を見つめる。なんとも言えない微妙な表情をしているが、どこか嬉しそうだった。え、もしかして嬉しいの? 今までこうして家でのデートは何度かあったけどお泊りなんて事はなくて、お互いそういったことも口にはしなかった。
 というか、彼女がここまで素直になるなんて、どれだけ寂しい思いをさせてしまったんだろう、そういえば、僕と極力会わないようにしていた期間の名前ちゃんはかなり元気が無いと善吉ちゃん言ってたな。過去のことを振り返っていると、名前ちゃんは首を傾げて震える声で言葉を紡いだ。

「良いんですか?」
『え? 本当に泊まるの?』
「……ダメですか?」

 あざとくしてきた上目遣いだけで、興奮状態だった僕の身体は色々危なくなって来たかも。よこしまな気持ちを振り払うべく顔を振って、おどけたように笑って言葉を発する。

『やったー! じゃあ色々着てもらいたい服あるんだ!』
「手ぶらジーンズも裸エプロンもやりませんよ」
『……』
「というか、さっきまで良い雰囲気だったのに最低! やっぱ一回死んでください!」
『いたたたたた!』『髪はやめいてててててて!』

 良い雰囲気を保つことなんて僕には出来ないよ。なんて呟けば、納得したような表情の名前ちゃん、え、そこで納得しちゃうの。
引っ張られた髪部分を擦れば、名前ちゃんは照れ臭そうにはにかんで僕の唇に自らの唇を少しだけくっ付けて、言葉を紡いだ。

「禊くんの部屋で寝たいです」
『!』『そ、それって? 僕だって健全な思春期男子だから色々想像しちゃうよー?』
「……構いませんよ」
『!?』『……あ』
「わああああああああああ禊くん!?」

 伏せられた表情が妙に色っぽくて、勝手にあんなことやこんなことを想像したら脳内の許容範囲を裕に超えて、僕はそのまま顔を真っ赤にして倒れた。

『だ、ダメだよ名前ちゃん』『そんなところっ』
「(うわあうなされながら笑ってる。まあそんな変態的なところも好きだけど)」

 結局僕と彼女が一線を越えるのは、もう少しだけ先のお話。





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つらら様リクエスト、珍しく甘える変態シリーズ夢主に御満悦な球磨川先輩でした。無理矢理彼シャツも一緒に入れちゃいました。ただ球磨川先輩細いから夢主が着てもあまりだぼだぼ感とかないような感じがしてならないです。ただ彼シャツ良いですよね、萌えます。
球磨川先輩のキャラがよく分からない方向に行ってしまったのが悔しいです。球磨川先輩は、肝心のところでピュアピュアしちゃって色々先延ばしになりそうなイメージがあります(笑
お気に召さなかったらお申し付け下さい。
つらら様のみお持ち帰りください。この度はリクエスト有り難うございました

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