×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



谷裂、佐疫、アラタ(拙宅オリキャラ)がマゾヒスト設定。格好いい谷裂は居ません。甚だしい捏造ですが、それでも宜しい方のみ推奨したします








その日、闇歌と新胴は鍛錬という名目で、佐疫と谷裂と鍛錬所に居た。闇歌は生者であるがかなりの技術を持っており、獄卒である三人に食らいつく程実力を持っていた。それ故、時たま獄卒達とこうして鍛錬をするのだが、今日は何故かいつもと違った。


「あははぁ…最高っ!ねえ佐疫!もっと逃げてくれなきゃつまらないよ…鍛錬にならないじゃん!」


新胴は戦闘等で興奮をすると、人が変わったように亡者を甚振る傾向がある。普段は仲間同士の鍛錬で興奮し、戦闘狂のように狂った一面を出すことはない。それなのに、本日は感情のボルテージが振り切ってしまったようで、得物を抱えて吐息を吐きながら目の前の佐疫を追い込んでいる。
新胴の豹変っぷりを横で見ていた闇歌は、見てはいけない物を見てしまった感覚に陥ってしまい、新胴をどう見ていいかわからなくなった。
興奮している新胴に追い詰められている佐疫は、体にできた大きな傷を抑えながら息を荒げている。いくら回復をする獄卒であっても、このまま佐疫に新胴の相手をさせるのは危ないと危機感を抱いた闇歌は、佐疫を見る。
すると佐疫は、とろけきったような目で新胴を見ていた。


「はぁ…っ!新胴!もっと!もっと俺にかかっておいで!その大きな刃物で俺の体を抉って切り裂いて骨まで断ち切ってグチャグチャにて俺にもっと痛みを頂戴!」


興奮し、息を荒げて新胴にリボルバーを向ける佐疫の言葉に、闇歌は絶句した。どういうことだ。真剣に思った。優等生である佐疫が、まさか被虐性欲を持っている等と誰が思ったか。
銃を発砲しながら新胴に近寄り、わざと彼女の得物である大鉈で切り裂かれる佐疫は、甘い吐息を吐きながら嬉しそうに悲鳴を上げる。


「佐疫ぃ…!つまらないよもっともっと逃げて追いかけさせてよ!ああ…!早くしてよ!」
「どうせなら豚と呼んでください!」
「早くしろよ豚野郎!」
「はいいいいい!!」


新胴と佐疫で行われる奇行に、闇歌は目眩を感じた。頭の整理が追いつかない。新胴のバーサーカー状態は何度も見てきているが、佐疫の嬉しそうな声や表情にどう気持ちを落ち着かせればいいかわからなくなった。
頭を抱えてその光景を見ていれば、鍛錬の相手をしていた谷裂が闇歌に近寄り、彼女の肩を抱える。闇歌は無性に谷裂に対して安心感を抱いた。恐らく谷裂も佐疫の豹変っぷりに、まさかの本性に戸惑っているだろうと彼の目を見れば、何故か紫の眼には興奮と期待の色を浮かべていた。


「闇歌」
「…谷裂お兄様?」
「俺を殴れ」
「…うん、現状に理解できないのはわかるけど夢じゃないよ?」
「そうではない。佐疫の興奮っぷりを見て、俺も我慢できなくなった」
「は?」


闇歌は思わず声を荒らげた。己に攻撃を望むのは、この光景が夢であると思っているからだろうと闇歌は思っていたが、まさかの発言に闇歌は更に思考がこんがらがる。
はて、今谷裂は何と言っただろうか。彼の言葉のニュアンスであれば、谷裂も痛みを求めているということになる。
闇歌は直様谷裂から離れようとするが、肩に回っている屈強な彼の腕が妨害をする。


「新胴のように俺を痛めつけ、罵声を上げて俺を甚振れ」
「マッテ、リカイデイナイ」
「さあ、闇歌!俺を貶めろ!」
「触んじゃねえこの変態!」
「ぐあっ!」


闇歌は思わず谷裂の顔面に、右ストレートを食らわした。細い腕に込められた力は、谷裂をふらつかせる程の威力があり、彼は殴られた右頬を押さえながら吐息を吐く。
瞬間に闇歌は恐怖を感じた。それでも谷裂は止まることがなく、紫の目をぎらつかせて、まるで肉食獣のような眼光で闇歌を捕らえる。


「そうだ、もっとだ、更に俺を甚振れ!」
「近寄んじゃねえ気持ち悪い息するな何も喋るな触れんじゃねえ!」
「ありがとうございます!」


現実を受け入れられなかった闇歌は、谷裂の頭上まで飛び上がると、彼の頭を踏みつけて強制的に床に押し付ける。顔面を床に接触させ、嬉しそうに声を荒げる谷裂は直様土下座の体制を取る。
素早い彼の動きと言動に、闇歌は鳥肌が立つのを感じた。


「大体そんな素振りなかっただろ!ふざけんな絶望したわもう一生私に話しかけないで!」
「放置プレイですか!?」
「喋るんじゃない変態!クズ!!」
「ごはっ!」
「谷裂何その素晴らしいご褒美!俺と交代して!」
「待てやこのゴミクズ!」
「来んじゃねえこの変態があああああ!!!」


まるでオセロのように白から黒へ変化した谷裂の態度に、闇歌は涙目になり、混乱しながら彼を拒否する。しかし、闇歌の行動が彼に快楽を与えていることを理解していない闇歌は、嬉しそうに声を発する谷裂の顔面を蹴り上げる。そうすれば谷裂は嬉しそうに苦しそうな声を上げた。
そんな闇歌と谷裂のやり取りを見ていた佐疫が、羨ましそうに背後に新胴を連れて二人の傍へ移動する。唯でさえ新胴に恐怖を抱いているのに、事の発端である佐疫が近寄ってくるのは更なる絶望を産むしかない。闇歌は直様佐疫の顔面に飛び蹴りを食らわす。
そうすれば威力に負けた佐疫が背後に飛んでいき、新胴の大鉈を背中で受ける。痛そうな光景に、佐疫は再び甘い声を発した。そして新胴が佐疫の傷口を、大鉈で広げるように掘っていく。


「どれくらい掘ったら床に到着するかなぁ?ねえ、ゴミクズ」
「ああ…っ!新胴!そのじわじわと攻めてくる痛みもいいよ!」


完全にキャラが崩壊している二人を見て、闇歌は真剣に涙を浮かべた。
そして足に衝撃を感じ、涙目で視線を下に向ければ、そこには真顔で息を荒らげた谷裂が闇歌の脚を掴み、ブーツに顔を近づけていた。
瞬間に闇歌は脚を上げて、谷裂の頭を踏みつける。


「触んな!汚い気持ち悪い変態!一生触れるな視界に入るな声かけてくるな!性癖バレて孤独死でもして獄卒の皆に絶望されろ!」
「がっ…ぐっ!あ゙っ!あ…闇歌っ!」
「名前呼ぶな虫螻!」
「ぐぁっ!」


何度も何度も谷裂の頭を踏みつけ、蹴り上げて悲鳴を上げる闇歌。それでも闇歌の拒否行動が幸せに感じるのか、谷裂は嬉しそうにされるがままだった。


「闇歌さん!谷裂を蹴るなら俺を蹴ってください!」
「てめーは来んじゃねえアラタ!」


新たな乱入者に、闇歌は更に悲痛の声を上げた。





悲鳴の楽園


その後、暴走していた三人と乱入してきたアラタを気絶させ、闇歌を保護した肋角は優しく彼女の背中を撫でていた。


「もうやだ何でこうなったの」
「…なあ、闇歌」
「…ろっかくさん」
「お前に踏まれるのは嘸かし気持いだろうな」


闇歌は彼の言葉に、更に悲鳴を上げることになった。

 / 
back