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星が消えたあの日のこと(???)


分からなかった。考えたこともなかった。思いつくこともなかった。もし、自分の手によって最愛がいなくなったら、なんて。赤松楓は、私の最愛は第三者によって見るも無残な姿に変えられた。楓ちゃんは、誰かの手によって死んじゃった。次は、次こそは、ちゃんと誰かの手で殺される前に殺さなきゃと思った。愛おしい人の最期は、私がやらなくちゃ。なんて子どもじみた思想に囚われた。もう迷っている余地も、善悪の判断も、全て無かった。

結局、答えは分からなかった。心は空っぽだった。鮮やかな血にまみれた自分の手を見返しても、既に動かなくなった空っぽの器に目を向けても答えは返ってこない。不思議と虚無感だけが心を満たした。

「ももた、くん」

呼んでみた、最愛だった人の名前を。

「百田くん、百田くん……。百田くん百田くん百田くん百田くん百田くん」

呼べば、朗らかに笑ってくれた貴方の声が、聞こえない。
頭が痛い、目の前が霞む。
目の前にいる男だったそれは、確かに笑っていた。後悔もなんもない、穏やかな笑顔だった。

「名字」

掠れがかった誰かの笑顔が脳内に浮かび、ノイズ混じりの煩わしい雑音の中に混ざって、誰かに名前を呼ばれた気がした。

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