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心が出来る鏡の怪異(きりしま?)


「きりしまくん、きりしまくん」
「どうした?」
「……きりしまくん」
「……名字? なにかあったのか?」
「きりしまくん温かくなったね」
「あたたかい? どういう意味だ」
「出会った頃は体温なんて無かったのに、今はなんだか人肌感じる」
「名字がこうしてくっ付いてくると、確かに身体が熱くなる」
「……そっか」
「俺は人では無いから体温なんてものはないし感じることも無かった。けどこうして名字と触れ合うことによって何かが生まれたのかもな」
「ふふー、人間らしくなったんだね」
「俺を変えたのは全部名字のお陰だな」
「嬉しい?」
「どうしてそんなことを聞くんだ?」
「だって……、元々私ときりしまくんって相容れない存在だし……。喋れないきりしまくんを無理矢理連れてきたようなものだから、」
「名字」
「ん?」
「俺はここに来て何一つ後悔なんてしてないよ。寧ろ発見ばかりで楽しい。何よりもお前の傍に居られるのが幸福でたまらない、幸せだ」
「〜っ……どこでそんな殺し文句覚えてきたの」
「本心を言ったまでだ」
「心臓に悪いよきりしまくん……」
「はは、身体が熱くなってるぞ名字」
「そりゃ私だって照れたら熱くなるよ」
「こうして身体をくっつけていると安心するし、お前の心臓の音が伝わってくる」
「人肌って安心するものみたいだよ。だからかなー? こうしてるとなんか泣けてくる。幸せなんだなーって」
「嬉しいと泣くものらしいな」
「らしいね。殆ど泣いた事ないから分からないけど」
「泣きたい時はいつでも俺を呼べ。お前が唯一心を開ける場所でありたいからな」
「きりしまくん、今日なんかカッコよすぎて死にそうなんだけど」
「今日だけか?」
「いつも、です……」
「本当に……愛おしいな」
「んー……」
「名字」
「うん」
「俺を拾ってくれて、ありがとな」
「……どういたしまして。こちらこそ、有難う」
「……ああ」

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