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出来ちゃった(佐疫)


「名字、ちょっとここにゆっくりで良いから座りなさい」
「え、なに佐疫、お母さん?」
「これ、なに?」
「なにって、母子てちょ……え!? な、なななななななんで佐疫がそれを!」
「昼頃に名字に用事があったから部屋にお邪魔したら机の上に置いてあって……、説明してくれないかな」
「(目が恐い、怒ってる)」
「名字?」
「先輩姉さんに、最近食欲無くて吐き気も酷くて……って相談したら病院行けって言われて、言ったら妊娠してて……貰った」
「…………にん、しんって」
「……佐疫との子が、お腹にいるってこと」
「………………嘘」
「……」
「どうしよう、すっごく嬉しい……!」
「え」
「こうしちゃいられない、名字すぐに肋角さんに報告して暫くの間は仕事は休んでね。その仕事分は俺が受け持つから。ああそうだ後女子の屋敷に一人で住ませるのは凄く不安だから俺のところに来て、なるべく一人で外出はしないでね、次病院行くときは俺も行くから! そうだ安定期までは油断出来ないって聞いたことがあるからそれまでは俺が付きっ切りで看病するから」
「病気じゃないからそこまでしなくても平気だよ?」
「良いから、お願い」
「(あれ、佐疫ってここまで心配性だったっけ)」
「楽しみだなぁ。名字これから辛い思いとかさせちゃうけど、俺がちゃんと付いてるから一人で悩まないでね。俺は話を聞いたりすることくらいしか出来ないけど苛々とかは全部俺にぶつけていいから」
「うわなんかドMみたい」
「子どものためならMにもなるよ俺は」
「優等生ェ……」
「そうだ、妊娠中にすると良い事とか食事とかもちゃんと調べておかないと……これから忙しくなるなあ」
「あの、佐疫」
「ん?」
「私、産んで良いの?」
「え?」
「だ、だって結婚もしてないのに……佐疫、仕事とかも忙しいと思うし……」
「……名字」
「……」
「結婚は産んだ後だって出来るよ。仕事のことも気にしないで、俺は大丈夫だから」
「っ、」
「俺と名字の血が流れる子が名字の身体に居るんだ、これほど嬉しい事なんてないよ。……本当に、ありがとうね」
「どういたしまして……っ、」
「ねえ名字、たくさん愛情を注いであげよう。俺、親馬鹿になるかもしれないなぁ。大きく育てってね〜」
「……佐疫」
「なあに? 名字」
「……頑張ろうね、パパ」
「! ……うん」

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