獄都☆光クラブ
「嘘……なんで死なないの……!」
僕の解体は完璧なはずだった。というか、人なら完全に腸を出されたら死ぬはずなのに、侵入者だった目の前の軍服女は数分後、何事も無かったように立ち上がり笑顔を見せた。
「ふぅっ……。いきなり人の身体を解体するなんて驚きましたよ」
「……」
「質問の続きをしても宜しいでしょうか? 言っておきますけど、幾ら自分を殺そうとしたところで全部無駄ですからね」
軍服女は、ただ笑みを崩さず明らかに人間離れした言葉を言った。
さすがにゼラもおかしいと思っているのか、ずっと眉を顰めている。
「お前……誰だ?」
タミヤが震えながら聞いた。軍服女はタミヤを見て、口を動かす。
「自分は、名字です」
名字。僕達よりも多分年上で、人間とは思えない。その証拠はさっきの生き返りと、死人みたいに青白い肌、銀色の瞳。
こいつは、なに?
「全員の名前を聞きたいところですが……見た限りリーダーと思われる貴方の名前は?
「……ゼラ、だ」
「ゼラさん、そして……自分を解体したあなたは?」
「……ジャイボ」
怖い。よく分からないけれど、この女はこの世のものではない。ライチとは違う、別世界の生き物。
「名字、お前は一体何者なんだ」
冷静さが見えるけど、明らかにゼラも動揺しているはずだ、だって相手の目を見ていないもの。
名字は、ゼラの質問になんて答えようか考えた結果、信じられない事を言い放った。
「そうですね、もう再生してしまったので隠す必要も無いですよね」
「どういう意味よ」
ライゾウが叫ぶ、名字はニッと口角を上げる。
「あの世の人間。獄卒です」