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- ナノ -

07

「メリークリスマス! イエーイ!」
「お母さんテンション高い」
「愛しの娘とクリスマスなんて最高じゃない! ちゃあんとプレゼントも用意したわよ!」
「母さんは本当に行事が好きだなぁ」

 むぎゅーと仕上げの料理を作っている最中にお母さんが私を抱き締める。この母親かなりの親馬鹿だ。遠くでお父さんは呆れてみているし。
料理が苦手なお母さんに代わり自分が将来のためにも料理を覚えたのはいつだっけ、すっかり習慣化してしまった。お母さんは元々仕事人間だったからこういう親子もありだよね。
同じ仕事人間もお父さんも普段は出張やら転勤やらで殆ど家にいないけどこういった行事ごとには必ず帰ってきてくれる。とはいえ、本当にお父さんは忙しいから会う日が昔から少なかったから今だに自然に話すことは難しい。なるべく気を遣わせないようにしているけれども。

「そういえば今年は霧谷くんと一緒じゃないのね」
「彼女とデートだよ!」
「あらあら」
「青いなぁ」

 ケーキを冷蔵庫に入れて席に付く。うん、今年も豪華だ。

「いただきまーす!」
「今年も美味しそうねぇ」
「さすが我が娘だな」

 プレゼントも楽しみだなぁ。そうだ、この前の瀬尾さんとの買い物で密かに買ったプレゼント、霧谷に渡そう。十時ぐらいに電話すればさすがにもう帰っているだろう。私は料理に手をつけた。

「霧谷」
“よっ! どうした?”

 ご飯も食べ終わってクリスマスプレゼントの高校用も通学鞄を貰って御満悦な私は部屋に戻って幼馴染に電話をする。
理由は部屋に戻って数メートル奥の部屋を見れば電気は付いていなかったから多分帰ってないだとうと思ったから。案の定電話に出た霧谷の奥からはざわ付く声。どこにいるんだろう。

「今どこにいるの?」
“瀬尾の家!”
「マジか」

 だって今十時半だよ。え、高校生ってそんなものなの、怖い、高校生怖い。もしかしてお泊りコースなのかな、一人で携帯を握り締めて考えていると、電話の奥で不思議そうな霧谷の声。

“で、どうしたの?”
「あ、ううん。なんでもない」
“……ふうん?”
「じゃあ、切るね」
“薺、明日勉強見るからあけておけよ”
「はーい」        
 
 通話ボタンを押してベッドにダイブする。えっと、もしかしたらもしかしなくても私の幼馴染は大人の階段を登るのだろうか。さすがに私でもそこまで深く追求出来ないぞこれは。

「やめやめ! 寝よう!」

 クリスマスも終わってしまう、もう少しで一月。しかもその前に模擬試験。嫌なことばっかりだ! 受験なんて早く終われば良いのに!

「そういえば、キリシマさん達は結局どうなったのかな」

 妙に気になっていて、頭からこびり付いていた。寒空の中であんな薄着、そして目立つ刀、黒いもじゃもじゃの疑問もあるけどあれは本当にこの世の人なのだろうか。いや霊感とかないから絶対この世の人だと思うけど。

「また会えるかなぁ」

 ツルハシのお兄さんも気になったし、不思議と会えそうな感覚が拭えない。



「……誰と電話してたの?」
「ん? 薺とだよ。用件なにか分かんなかったけど」

 ああそういえば用件聞いてなかったな。結局アイツ何伝えたかったんだろう。携帯を鞄にしまってベッドに腰掛ける瀬尾を見る。湯上りの瀬尾は妙に色っぽくて、パジャマの胸元から覗く白い肌に思わずごくりと唾を飲む。

「本当に仲良いんだね」
「まぁな、ずっと一緒にいたし。明日プレゼントわたさねーと」
「……」
「瀬尾?」
「アタシに、構ってよ」
「っ、」

 するりと彼女の腕が首に絡んできたと思ったら、上目遣いで耳元に囁かれる。色っぽさになにも言えないし、妙にぞくぞくとした感覚が襲う。

「確かに薺ちゃんは幼馴染だから大切なのは分かるけど」
「瀬尾は彼女だから、アイツに対する好きとは違うよ」

 十五年も一緒にいると、どうもアイツの味方をしてしまう。お兄ちゃんお兄ちゃんと呼び付いて回っていた薺が脳裏を掠める。薺と同じくらい瀬尾も好きだ。もちろん二人に対する好意の意味は家族愛みたいなものと恋愛感情で違いはある。
そうは言ったが、納得してないのか瀬尾はすっと眉を落とす。

「瀬尾、もしかしてやきもち?」
「……霧谷くん、好きだよ」

 話しをそらされて、柔らかい瀬尾の唇が自分の唇に押し当てられた。甘ったるい匂いにクラクラしそうだ、既に身体は熱くなっていて、俺も我慢出来そうにない。
そのまま瀬尾を押し倒して、彼女のパジャマに手をかけた。



≪ ≫

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