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肋角さんがドMという設定。
捏造も甚だしいです、父であり先生であり威厳のあるカッコいい肋角さんを楽しみたい方の閲覧はお勧めしません。












 屋敷に住んでいる人たちの仕事も終わり各々がお風呂へ行ったり部屋で自由にしているであろう、時計の針は二十一時を示しており空もすっかり闇に染まっている。
なんてのんびり考えている場合ではない。今座っている場所と、周りの部屋の景色は住み慣れている部屋ではないしましてやこんな時間帯まで男性の屋敷に居る理由なんて無い。そうだ、確か肋角さんに呼び出されてそして、仕事の話かなと思っていたのに、なんで、

「う、んっ……」
「はっ……声を我慢する必要は無いぞ」
「ろ、肋角さっ……やめっ、」
「お前に見下ろされながら惨めにこうするのは、とても興奮する」
「んんっ……!」

 行儀悪く私は彼が普段使っている机の上に座り、私よりも立場的に偉いはずである肋角さんは制服が汚れることなんて気にしないまま地面に膝を付けておりあろうことか何も纏っていない私の足の指に舌を這わせている。確かに一度部屋に戻りお風呂には入ったけれども足なんて一番汚れる箇所であるにも関わらず指の間を丁寧に舌で絡める肋角さんの姿はドン引きものだ。うっとりと目を細め大きな手で私の両足を掴んで時折指に吸い付いたりするもので私はじわじわ上り詰める妙な熱に身体を震わせることしか出来ない。得も言わぬ快感が時折背中を掠め身を捩ろうにも足を強く掴まれて思うように動けない、荒くなる息を抑えて目線を下に向ければ私の足は彼の唾液で濡れている、そして温かく真っ赤な物体が指を這っていき生理的に涙が零れる。途端彼の舌が私の足裏にまで及び舌先でちろりと舐められた瞬間思わず力が入り肋角さんの口元付近を蹴り上げてしまった。

「っ、」
「あ、す、すみません! 大丈夫ですか……!?」
「いや……今の痛み、中々良かったぞ」
「……」

 別の意味で涙が零れた。痛みなんて無かった、寧ろ快感を味わったかのよう目を細め荒い呼吸を零した肋角さんが別の生き物に見えて早急にこの場から逃げたい。部屋に呼び出された時は珍しいな、なんて思いつつも急ぎの用なのかもと思って入ってきたのに部屋に入った途端肋角さんに身体を持ち上げられ机の上に座らされて履いていた靴下を脱がされて行き成り舐めだした時は混乱で暫く呆然としていた、というか理由を聞かぬまま今この状態だからほんと何なのか理解出来ない。なにこれ、肋角さん何かに取り憑かれたの? 肋角さんと多分まともに会話出来る状態だと察した私は素早く舐められていた足を胸元まで戻し体育座りの体制で肋角さんを見下ろす形になってしまうが重々しく口を開いた。

「あ、あの……一体どういう事ですか?」
「なにがだ?」
「だ、だって……用事があるって言うから来たのに……いきなりこんなこと……!」
「元々そうするつもりでお前を呼んだんだ。本当はもっと早い段階でこうしたかったが俺にも理性があったしな、……だがついに我慢出来なくなった」
「……すみません、全く持って意味が分からないです」
「お前に蔑まれ見下ろされ罵られながら踏まれたい、願わくばお前の足を舐めたいということだ」
「駄目です本当に意味が分からないです!」
「お前が好きだ。だから、蔑まれ踏まれ嬲られたい、そして俺はお前の足を舐めたい」
「ああああああ!? 全然関係性が結びついてないです!」
「こういった愛の形もある!」
「そんな愛自分受け入れる器量ないです!」

 この人は私達と同じ生き物ではない。という簡素かつ明確な言葉が頭の中に咲いたので私は相手にするだけ無駄だと思い逃げようと机から足を伸ばして地に着けようとした瞬間、後ろから思い切り抱き締められる。ふんわりと香る紫煙が私の鼻腔を刺激して暖かい体温と鍛えられた大きな腕に閉じ込められ思わず私の胸が大きく高鳴り身体中に先ほどと似た熱が溢れかえった。肋角さんは面倒見が良くて父のようで先生のようで上司で、私達とは別の視点から物事を見ている彼は昔から憧れだった。父として慕い何時しか目標として見て、気が付けば無意識に男性として意識していた場面もある。そんな男性に今こうして抱き締められているという事実は私を狂わせるには十分すぎて、

「ろ、肋角さん……?」
「名前、俺は、お前が好きだ」
「っ……!」

 ぶわっと熱が溢れ出て顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。身体に絡みつく腕はどこか弱々しくてそれでも必死に離さまいとしようとしているのが私にも伝わってくる。耳元で囁くように吐き出された言葉は先ほど私の足を舐めていた人、という認識なんて軽く吹っ飛び私の視界は一瞬だけぐらりと揺らいだ。
私も彼が好きだ。確信した。その縋り付く腕にソッと手を添えて、私が思っている言葉を吐き出そうと口を開いた瞬間よりも先に肋角さんが再び耳元で言葉を吐いた。

「だから……俺を蔑み踏んでくれ」
「やっぱりいやあああああああああ!」
「がっ!?」

 前言撤回甘い雰囲気なんて全く持ってない! というかこんな変な肋角さん肋角さんじゃない! 肋角さん? らしき人物が吐き出した言葉は全身を一気に冷やすほどの威力を持っており私は一瞬込められた力で彼の拘束を解くと両肘に力を入れて一気に後ろへ引いた、肘鉄の容量で彼の胸元を攻撃するとさすがに苦しかったのか肋角さんは短く低い声で唸るとそのまま身体を折り曲げて蹲ってしまった。その光景を見て、全身から血の気が引いていくのが手に取るように分かり慌てて机から降りると蹲ったまま動かない肋角さんの背中に手を添えて覗き込む。

「ろ、肋角さん!? す、すみませんんん!」
「やはり俺が見込んだだけある……! 凄く良かったぞ……」
「……」
「今のように、俺を甚振るだけで良い。さすがに罵りなどはまだ慣れないだろう、じっくり慣らしていけば良い」
「…………」

 この人、本当に何を言っているのかな。顔を上げた肋角さんの緋色の目は蕩けきっており口元はだらしなく歪みきって快楽に溺れているかのように荒い呼吸を繰り返している。自体が飲み込めなくてただただ身体を固まらせていれば肋角さんは一人で自分の世界に入っているのか私の肩を掴んでぶつぶつ何か語りだした。感動しているのかこれから私にされる事を勝手に妄想しているのか知らないけど肩に置かれた手には力が込められており肋角さんの褐色した肌に映えるように朱色が段々と濃くなっている。

「肋角さん、貴方きっと疲れているんです。一回寝ましょう? 寝たらきっと今この状態すら面白おかしくなっちゃいますから」
「名前、俺は本気だ。お前に痛めつけられたい」
「すみません用事思い出したので帰ります」

 会話のキャッチボール出来てない、きっとこれは夢だ。悪い夢を見ているんだ。部屋に帰って暖かいベッドに入って一睡して任務内容を確認するべく執務室に入ればいつも通りみんなから慕われる肋角さんが居るんだ。何も考えないようにして立ち上がり、足を早めつつ執務室の扉へ逃げるように向かおうとした瞬間に、後ろからむんずと襟首を掴まれた。
そして、耳を疑いたくなるような言葉をあっさりと吐き出した。

「名前、俺はお前の上司だ」
「……はい」
「こんな事は言いたくないが、ある程度言いつけを守っておかないとこの先の未来は明るくないぞ」
「っ……!?」

 背後から先ほどの色気のある声とは違い、どこか脅しにかかっているように吐き出される低い声はしっかりと私の耳に届き鼓膜を揺らす。その言葉の意味を反芻して理解した瞬間、一気に頭からつま先につめたいものが走り出して言葉を失う。この人、ついに職権乱用にまで走った……! そこまでして痛みの快楽に向かいたいのか、……というかなに、肋角さんはつまり纏めるとマゾヒストって事なんですかね、もうそれしか考えられない帰りたい。

「ああ勘違いしないでくれ。俺はお前にそんな事はしたくない、……もしもの話だ」
「え、えっと……! あの、」
「名前」

 これ拒否権無い奴だ。言葉はとても優しく子どもに言い聞かせるようで、勿論はい、と答えなくても良いんだよと第三者から見たら勘違いしそうなほど柔らかく優しい笑みだけれども私には分かる。彼の緋色は全く持って笑っておらず完全に「はい」以外聞かない、と物語っているのくらい察しが付く。
目の前が真っ暗になって、視界が一周ほど回ったような気がした。



「っ……! こ、こうですか……?」
「はぁっ……、もっと強くだ……!」
「……こう?」
「っ! 今のだ、……今の容量で遠慮なく色んなところを踏んでくれ」
「〜っ……!」

 視界が涙で揺らぐ。足を舐めていた時と同じように私はまた机の上に座って膝を地面に付けて四つん這い状態になっている肋角さんの背中におそるおそる足を乗せて軽く踏みつけながら言葉を問い掛ければ興奮しているのか吐息で返事をしつつ声を震わせながら肋角さんがアドバイスなのかは分からないが要求を言ったので、私の未来のためにも何も考えず無の感情になって足に力を込めてちょっと首元付近に足を移動させて体重を掛ければ肋角さんの大きな身体がびくんと跳ねた。なにこれ、もう嫌だ泣きたい帰りたい。

「ろ、肋角さん……じ、自分」
「良いんだ。お前の思う通りに踏んでくれ」
「〜っ肋角さんの馬鹿!」
「がはっ!?」

 助けて、帰りたい。というニュアンスで縋るように言ってみれば案の定求めていたのは全く違う返答が帰ってきて苛立ちやら混乱やら焦りやらが爆発して私は思わずもう片方の足で恍惚とした表情で私を見上げる肋角さんの顔を蹴り上げてしまった。語尾にハートが付きそうな勢いで呻いた肋角さんにまた一瞬だけまずいと思ったけれどもこの人これが良いんだっけ。なんだか世の常識というものが麻痺してきておかしくなりそう。

「名前……! 今のは凄く良かったぞ。……その調子で、どんどん俺を踏みつけ痛めつけてくれ」
「あ、あああああ……」

 もう駄目だ。ぶわっと我慢していたものが目から容赦なく溢れ出して、はぁはぁと獣の如く荒い息をする肋角さんが可笑しくて泣き引き笑い気味で見下ろしていると、その表情が良かったのか肋角さんは気持ち良さそうに目を細めて身体を震わせている。頭が痛い、どうして、どうしてこんなになるまで放っておいたのですか。
いっそ気絶したい、逃げたい。加虐心は持ち合わせていない私はこの状態を受け入れたくないことにいっぱいで、明日からどうしようと考えていたら私の表情を見て察したのか肋角さんは意地悪く口角を吊り上げた。そして彼の顔の近くにぶら下がっていた私の足の指を噛んできた、いきなり来た刺激に思わず身体が跳ねる。

「ひゃっ……!?」
「先に忠告しておく。……漸くお前を捕まえたんだ、逃がすつもりなんか毛頭無いぞ」
「(……いっその事殺してくれ)」

 マゾヒストかと思っていたけれども、多分肋角さんの場合はサディズムも多少なりとも入っているのかも知れない。彼の言葉を耳に聞き入れて、私の未来は重黒くどん底に塗り変わっていった。

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佐Mくんの次はM角さんです。過去のツイート漁ってたらどうやらSとMの狭間に位置して職権乱用使い放題しているとんでもねぇ上司です。
慕っていた上司がこんなことになったら私だったら発狂するわ。