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「くそおおおおおお! なんでいっちまったんだよおおおおお! おかわりいいい」
「……」
「どーも、……あー」

 亡者のマキさんが転生したらしい、付き添いは先輩のナマエさんだったらしく、無事マキさんが転生出来たんだが彼自身がかなり落ち込んでいる。死に掛けの彼を見かねた佐疫先輩達が呑みに強制的に誘ったらしい。
ついでに名前もどう? と誘われたので指定された飲み屋に来てみれば、見事に荒れたナマエさんがいた。獄都内では一番と豪語されるほどの酒豪の彼が顔を赤くするなんて、どれだけ飲んでいるのだろうか。

「お、きたな名前!マキさんいっちまったよおおおおおおお!」
「あの、そろそろソレくらいにしといた方が。というか何杯目ですか」
「そうだよー、明日に響くよ」
「これで十五杯目だよ! あああああああああマキさんんんんんんん」
「(化け物かよ)」
「まあまあ、仕方ないよね〜。ほら名前も座りなよ〜」
「あ、はい」
「お、名前! ナマエすっげー飲んでんだぜ!」
「平腹五月蝿いぞ!」
「静かに飲めねぇのか」
「……」

 出来上がっている木舌先輩の隣に座って、他の先輩達を見る。平腹先輩は既に一人で騒いでいるしそれを止める谷裂先輩、田噛先輩は若干イラついていて平腹先輩を殺しそう、斬島先輩はおつまみを食べながら静かに呑んでいる。カオス。

「名前〜! マキさんいなくなっちまったよー!」
「そうですね、酒臭いです」
「名前なに飲む?」
「あ、薄めのウーロンハイお願いします」
「それで良いの?」
「あまり飲めませんから」
「そっか。ま、介抱するのもどうせ俺たちだしね」

 佐疫先輩の言葉に苦笑する。確かに、結局最後まで酔い潰れたみんなを介抱するのは私と佐疫先輩の役目だからね。
出されたウーロンハイに口を付けると、ついに泣き出したナマエさん。

「あーぁ……俺も早く記憶戻らねぇかなぁ……」
「……戻りますよ、絶対」
「だと良いけどなー……」

 ナマエさんは本当に自分の名前くらいしか記憶を持っていないから厄介だろうなぁ。記憶が戻るまでは転生出来ないし、もし罪があったとしても償うことが出来ない。

「というか、俺処罰受けんのかな」
「……亡者に恋愛感情抱いちゃったからね」
「(恋愛感情、か)」

 私達獄卒が生きている人や亡者に恋心を抱いたらどうなるのだろうか、もしかしたら相応の重い処罰とか下るのかな。考えただけでゾッとする、結局転生したから大丈夫だと思うけど。

「肋角さんも分かってくれるよ、きっと」
「……ですよね」

 ふと目を向ければ、殆どの人が酔い潰れていた。一番騒いでいたナマエさんも突っ伏して眠っていた。
もう少しだけ呑んでようか、と笑顔で言った佐疫先輩の言葉と同時に斬島先輩も私達の近くに座る。

「ナマエ、明日大丈夫かな」
「二日酔いでダウンしてると思いますけどね」
「……吹っ切れたようだから大丈夫だろう」

 チラッと眠りこけてるナマエさんを見れば、涙ぐんでいるけど心成しか顔立ちはすっきりしている。

「マキさん……」
「(きっと、ナマエさんもじきに転生できますよ)」

 幸せな夢を見てくださいね。私はウーロンハイに口を付けた。

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本当に記憶戻って転生できたら凄いね!
名前ちゃん見た目が学生のままだから酒とか凄い違和感。
ただアラタくんが愚痴ったのを書きたかっただけです。