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「#エロ」のBL小説を読む
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 朝から湯煎をし、冷やしておいたホワイトチョコに再び火を掛けて人肌くらいまで温める。量も十分すぎるほどで、部屋中に甘ったるい匂いが充満する。
スプーンで掬い取り口に含めば程よく温まったので火を止めてそのまま蓋をして置いておく。
彼女が来るまであと三十分、それまではちょっとお酒でも呑もうかなと思って宅呑みを始めた。気がつけば一杯で終わりにしようと思っていたのに、呑みたい欲に負けて三十分の間に酒瓶一本が空っぽになっていた。



「こんばん……う」

 夜に食べさせたいものがあるから、部屋着でおれの部屋に来て! と館の廊下ですれ違ったときに恋人の木舌さんに言われて、部屋着の上からパーカーを羽織って彼の部屋に行ってみれば異様な甘ったるい匂いと酒の匂いに顔を顰めた。
 目の前には酒瓶を抱えてうとうとしている木舌さんがいて、呆れつつも近付けばパッと笑顔を見せた。

「名前〜、いらっしゃい!」
「こんばんは。というか酔ってますよね」
「ちょっとね〜」

 ほんとに会う度に呑んでるよなこの人。とりあえず部屋に着いたのでパーカーを傍に置いて彼に顔を向ける。

「で、なに食べさせてくれるんですか?」
「ん〜……あ、そうそうこっち来て〜」
「え? あ」

 手を引っ張られて案内されたのは、なぜか浴室。ポイッと放り出されて呆然としていると木舌さんは消えて、暫くしたらなにか大きな鍋を持って現れた。なんだろう、よく分からないけれど嫌な予感がする。大きな鍋を浴槽の蓋の上に置くと、なぜか私の服に手を掛ける木舌さん。

「は〜い、ばんざ〜い」
「!?」

 有無を言わさず服を上に引っ張られてシャツを脱がされた、悲鳴を上げる前にさっと背中に手を回されて下着も剥ぎ取られる、なになになに!? パニック状態の中で反射的に胸元を隠すと木舌さんは鍋を手に取りお玉で何かを掬い取ると私の胸元に掛け出した。

「えっ!?」
「名前のチョコソース掛け〜」
「は、え? んっ、」

 チョコソース? 掛けられたそれに目を向ければ妙に甘ったるい匂い、……これ、ホワイトチョコ? 彼の名前を呼ぼうとした時に、彼はすっと緑色の目を細め、背中を曲げるとホワイトチョコが掛かった私の胸元を舐め始めた。背の高い人用の浴室だから狭くは無いけど、何となく窮屈に感じる。

「あ、ちょ……っ」
「ホワイトデーのお返し〜」
「お返し? ……、あぅ」

 なってない、意味が分からない。という言葉を言う前に木舌さんはまたチョコを私の首元とかお腹に掛けて舌を這わせる。舌が這うたびにぞくぞくした感覚が背中から走り出して呼吸が乱れ、息を吐こうとするならば言葉にならない声が浴室に響く。

「名前甘くて美味い」
「うっ、や、やだっ」

 胸周りを執拗に舐められて身体が熱くなる。逃げようと身体をズラせば今度は後ろから覆い被さってきて背中にもチョコが掛けられる。甘ったるい匂いと変な快感がぐるぐる回ってなにも考えられなくなってきた。
さらに最悪なことに、お腹とか胸を撫でてきた。

「っ、き、のしたさんっ……」
「ん〜。甘いね」
「や、ほんと止めて……!」
「次は足ね〜」
「聞いてくださいよ!」
「はいはい、名前は大人しく俺に舐められてて〜」

 にこやかな笑顔の木舌さんの口元にはホワイトチョコ付いてる。文句を言おうとしたら有無を言わさずキスをされて両手を後ろ手に拘束されて紐で縛られる。どこから持ってきたそんなもの!?
熱も冷め始めたと思ったのも束の間、ショートパンツの上、太もも辺りからまたしてもホワイトチョコを掛けられ木舌さんの舌が触れた。

「あっ……」
「……エロいね、名前」

 熱っぽくなってきた木舌さんの瞳が見えたかと思ったら、そのまままた太ももに顔を埋めてチョコ越しに舐められる。先ほどよりも強い熱が中心部から篭って脚を閉じようとすると阻止された。

「閉じちゃダメだよ、舐められないでしょ〜」

 ぶんぶんと顔を横に振れば木舌さんの手が頬に触れて顔をじっと見つめられる。なぜだか恥ずかしくなって目を逸らせば僅かに掛かっていた首筋のチョコを舐め取られた。

「っ、」
「……本当に、嫌?」

 言葉で取り繕っても、私の身体に触れてる木舌さんは私の本音が分かってしまう。囁かれた言葉になにも言えなくて顔を赤くすれば、にっと厭らしく先輩は口角を上げる。

「ね」
「……!」

 身体を木舌さんの方に向けられ壁に背中が付く。さらにたくさんのチョコを掛けてきた。どれだけ用意してあるんだ。そして未だに両手の拘束を解いてくれる気配はない。

「ん、ふっ……!」
「名前、脇腹弱いよね」
「ぁ……!?」

 つぅ……と指先で触れるか触れないか程度になぞられて身体が跳ねた。しかもそれと同時に胸元とかを舐められてるからもうほんとどうしようも出来ない。

「き、きのしたさ、」
「うぁっ、」

 あまりのくすぐったさに空いた膝を上げれば、私の左足を挟む形で膝立ちしていた木舌さんの声が聞こえた。

「……?」
「名前、仕返し……?」

 不機嫌そうな顔を覗きこまれてわけが分からない、何がですか、と聞いた後に察する。左膝に、妙に硬い何かが当たる。まさかそんなわけ、と思いつつも軽く膝を上げれば木舌さんが声を我慢して少し崩れ落ちた。……色々と想像して、顔が一気に熱くなった。

「ご、ごめんなさい! あの」
「……っ」

 大丈夫ですか、と言おうとしたら膝を掴まれて、必然的に硬いものを押し付けられる。動かそうにも力が強くてどうにも出来ない、恥ずかしさとテンパりで穴が開くくらい木舌さんを見つめると少し呼吸を乱して頬が赤い。

「名前があんな声出すからこうなった」
「う」

 言葉が出ない。というか元々木舌さんがこんな変態行為を始めたのがいけないのではないのだろうか。浴室は寒いはずなのに、私の身体は妙に熱くて嫌になる。

「うーん……冷めぬ熱はどうすれば良いかなぁ?」
「し、知らないです」

 冷や汗が止まらないし顔が引き攣る。半裸の私と、色々と昂ぶっているであろう酔っ払い木舌さん、この光景から先が想像出来るのは一つしかないがなんとか別の方法がないかを必死に探る。

「名前はもう子どもじゃないからおれが言いたい事分かるよねぇ?」
「じ、自分まだまだ子どもなので……そろそろ寝ないと」
「え〜、じゃあ名前の前で抜いて良いの?」
「なっ!」

 声が上ずった、なんだこの酔っ払い。なんかもうただとりあえず首を横に振れば、納得したような木舌さんが両手を縛っていた紐を解いて、タオルを出してきて身体に掛かったチョコをある程度拭うとそのまま持ち上げられる。

「じゃ〜……行こうか」
「どこに、ですか?」
「ベッド〜」
 
 うきうきと子どものような声色で脱衣所から出る木舌さん。

「……寝るんですよね?」
「んふふ〜」
「わっ」

 答えが分かりきっているけど、敢えて聞くと木舌さんは何も言わずに私をベッドに落とす。

「(ん〜、おれ本当は名前に何か食べさせようとしてたんだけど何だっけ?)」

 馬乗りになりながら首を傾げる木舌さんを見れば、微笑まれてキスされた。

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酔った木舌さんに舐められる……アンケートにあったのですか、なんか恥ずかしくなって何も言えないです。ペロリスト木舌。
一日遅れのホワイトデーも兼ねて。この後思い切り夢主に怒られる木舌さんとか。