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「あれ……自分なんで」

 心なしか首がズキズキするような気がする。気にするほどではないけど。あれ、ていうか私寝てた?

「お帰り名前。ごめんねおれのせいで」
「?」

 木舌先輩が料理を運んできた、そのあと何故だか変な料理で、それを食べたら急激に身体が熱くなり頭がふわふわしてきて、そのあとの記憶が……あれ? そこから意識が途切れている、意味が分からず謝ってきた木舌に目を向けると木舌先輩は困ったような顔をして頭を撫でる。

「谷裂が今料理中だぜ!」
「……え、はい。というか自分今まで……」
「名前、大丈夫だよ」

 にこりと佐疫先輩が笑う。意味が分からないけど、とりあえずなんだか深く追求してはいけない気がしたので私はこのことは忘れようと心に誓った。



「料理というのは、難しいな」

 納得がいかないような顔をして出てきた谷裂先輩。テーブルの上に置いたのは少し焦げた炒り玉子だった。
 見た目的に普通、ああダメだ、平腹先輩のがトラウマになってるよ。

「谷裂も一応料理は出来るんだな」
「全く出来ない、というほどではないが殆どしないからな。ほぼ初めてに近い」

 斬島先輩の問いに少し難しそうな表情をして答える谷裂先輩。確かに、谷裂先輩からは料理のイメージって全然掠りもしてない、普段任務で魑魅魍魎を蹴散らしているから。

「亡者とかは色んな意味で調理してますけどね、焼いたりとか斬ったりとか、叩いたりとか」
「名前、材料になりたいのか?」
「すみませんでした」

 冗談なのに、と少し唇を尖らせると谷裂先輩は困ったような顔をしてギコちなく私の頭をポンポンと叩いてきた。なんか結構頭撫でられるな、小さいから? まあ悪い気はしないから構わないんだけど。

「まあとにかく、食べてみようか」

 箸を手に取った佐疫先輩が言う。それにつられて私達も炒り玉子を取って口に運んだ。

「……普通だな」
「うん、焦げたり生焼きだけど、食べれないことはない」
「平均くらいかと……」
「どっちかっつーとちょい下辺りかな」
「くそ、慣れないことはするもんじゃない」

 でも食べれないことはないから、全然良いと思うけれど。ある意味他の人たちのがインパクト強いだけなのもあるけれど。
 美味しいと言えば美味しいし。ふわふわな部分もあって食べれる。

「ちゃんと調理されてるから、田噛よりは上だね」
「そうだな」
「お酒呑みたい〜」
「ふわぁ〜……なんか眠くなって来たな」

 田噛先輩のはお湯入れて卵落としただけだもんね。というかもうみんなダレてきてないかな、まあ結構時間経ってるしね。今のところ順位は佐疫先輩、斬島先輩、谷裂先輩、田噛先輩、木舌先輩の順番かな。平腹先輩は論外らしい。だろうね、あれ料理じゃなくて錬金術だし。

「てことは、一位は佐疫か〜」
「優勝かな? やった」
「え、自分も作りますよ」

 優勝者が決まったようだが、疑問に思って私は口を開いた。その瞬間に先輩達が吃驚したような顔をしてこちらを振り向く。え、なに、なにか変なこと言った?
 私の心を見透かしたように木舌先輩が聞いてきた。
 
「名前も作るの?」
「順番決めたじゃないですか! 自分も作りますよ」
「だがもし、名前が優勝したらどうするんだ」
「確かに……」
「そん時は好きな奴選ばせれば良いんじゃね?」

 気だるそうに田噛先輩が爆弾発言をかました。いや適当すぎるでしょ。なに言ってるんですか。
 冗談ですよね、と言おうとしたら佐疫先輩が私の言葉を被せるようにまたまた爆弾発言を言ってきた。

「良いね、じゃあ名前が勝ったら一日傍にいて欲しい人決めてね」
「え、えええええ?」
「面白そーだな! 頑張れよ名前!」
「名前の料理、楽しみだな」
「マジかよ」

 佐疫先輩が優勝したら一日一緒、まあ佐疫先輩嫌いではないから問題けれども。そしてもし私が優勝したら、先輩達の中から一人を選んで一日過ごす……なんだこれ。普通の料理対決には出来なかったのか。
 勝っても地獄、負けても地獄です。

結果:田噛より上