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「だりぃ……」
「って、先輩エプロン!」
「あー……付けなくて良いだろ」
「良いから付けてください!」
「くそっ……だりぃ」

 次は田噛先輩、なんか終始だりぃだりぃ言ってるけど大丈夫かな。丁寧にエプロンを付けてあげると先輩は食堂の奥へ入っていく。

「田噛って料理すんの?」
「料理どころか食べる事すらめんどくさそうですよね」
「食えないものは出てこないだろう」

 時間にして三分くらいだろうか、田噛先輩が食堂から出てきた。あまりの早さに私達は結構間抜な声を出してしまっていた。



「出来たぞ。おら食え」
「早いですね……ってカップ麺じゃねーかよ!」

 思わず敬語が外れた。だって出てきたのカップ麺ですよ。しかも玉子一個乗せてるだけ。予想外の出来事に私達の目は点になる。
 カップ麺は、昔私宛の供物から貰ったのをみんなに食べさせたことがあるので知ってるんだっけ。

「……」
「田噛……貴様……」
「開いた口が塞がらないって、こういう時に使うよね」
「でもこれ美味いよなー!」

 もうだめだ、全員が呆然としてる。なるわ、だってカップ麺来るとは思わなかったよ。これ料理? まあ玉子乗ってるから料理なのか。
判定はどうするか、と悶々としている田噛先輩はやはりダルそうにしている。

「立派な料理だろ。玉子乗っけてんだぞ」
「予想の斜め上だな」
「おれ、こんな料理対決初めて見たよ」
「あ、でも玉子美味しいですよ。程よく汁が染みてる」

 なんか、もうどうでも良くなって来た。私は程よく固まった玉子に手を付けて一口食べる。まあ、玉子は美味しいから有りでしょう。
みんなも渋々食していると、谷裂先輩が難しそうな顔をしながら言った。

「どうするんだ、これは」
「斜め上行き過ぎて逆に凄いね」
「だりぃ……寝て良いか?」
「ダメです。最後までいて下さい」

 今にも寝そうな田噛先輩を宥めながら、結局長い時間話し合った末に玉子は美味しかったから三位くらいにしとこうということになりました。
けれどこういう人って本気出せば結構凄い料理とか出しそうだよね。

「ていうか田噛先輩、カップ麺どこから持ってきたんですか」
「この前にお前に貰ったやつで作った」
「ああ、非常食用に渡したやつですね!」

 確かこの前長期任務のときに渡した奴と同じ名前だ。あれ食べないで取っておいたんだ。まさかこんな形で出てくるとは思わなかったけど。
次なに渡そうかなーと考えていると後ろから急に何者かに圧し掛かられた。

「名前ー、オレにも今度くれよ!」
「良いですよ、まだありますし」

 どうやら圧し掛かってきたのは平腹先輩らしい。首に腕を回されて若干苦しいが私は笑顔を見せる。というか重いからあんまり体重掛けないで欲しい。
でもまあ特に嫌な気分はしないからそのままの状態でいると、若干血管が見えかかっている谷裂先輩がいた。

「平腹、名前から離れろ」
「え〜、だって名前抱き心地いいし」

 私は抱き枕か。心の中で突っ込みを入れると、それが勘に触ったのか谷裂先輩は拳骨を作りそこに息を吹きかけている。あ、これは嫌な予感。

「……平腹、歯を食いしばれ」
「え、ちょ、待ってごめんなさいいいいいいいいいい!」
「あーぁ……」

 ゴツン! と大きな音が響いた。どうやら谷裂先輩の拳骨が平腹先輩の頭に落ちたらしい、ていうか音的に痛そう、凄い痛そう。
平腹先輩私に抱きついていたから若干衝撃があったけど今は言わないでおこう。転がる平腹先輩を無視して佐疫先輩が私の顔を覗きこむ。

「名前、怪我してない?」
「大丈夫ですよ!」
「なら良かった」
「平腹の近くにあまり寄らない方が良いぞ」
「え……はい」

 ポカンとしつつも、頷くと佐疫先輩はにっこりと笑って頭を撫でた。一方の斬島先輩良く分からない言葉を発して私の隣に座り込んだ。
なんだかよく分からないけど、詳細を聞くほどでもないことだと思うから黙ってよう。

結果:とりあえず三位