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- ナノ -
「……」
『……』

 メーデ! メーデ! ただ今危険な状況。自分の気持ちに気付いて一週間経ちました、ええ月日が経つのは早いですね。禊先輩離れしか三週間ですよ。
やっと慣れてきたと思っていた矢先、偶然なのか必然なのか禊先輩に出会ってしまいましたよ。
あれ……確か安心院さんに用事があるから教室で待ってろ、って言われて……それで待っていたら禊先輩が入ってきて。

「(うおおおおおおおおおおおい!? これ絶対安心院さんの掌で踊らされただろ!? うわあああああああ! バカだ!)」

 冷や汗止まらない、どうしよう。

『……』
「……っ」

 視線合わせてくれない。ちょっと悲しいぞ……泣いてもいいですか?
鼻の先ツンとしてきました。

『帰ろうかなあ……』『安心院さんもいないし』
「!」

 無視? 無視ってきつい……! あ、行っちゃう!

「っ、禊先輩!」
『!?』

 気が付いたら、足、体が動いて禊先輩の背中に張り付いて、否、抱きついていたの方が正しいかも。
……うわ、華奢だと思ってたのに背中大きいな……。急に恥ずかしくなって、私は先輩の背中に顔を埋める。

『雀、ちゃん……?』
「……です」
『え?』
「お、大人しいとなんだか寂しいです……!ごめん、なさっ……。っ!?」
『〜〜〜っ!』

 気が付いたら、先輩は体を回転させてわたしを思い切り抱き締めていた。
うわ、力強い……ちょっと苦しいぞ。

「せ、先輩……?」
『雀ちゃん』
「……?」

 ぐい、と肩を押されて、目の前に禊先輩の真剣な表情。
思わずドキリと心臓が高鳴る。真っ直ぐな視線に耐えられなくて視線を逸らす。
そして、先輩はゆっくりと口を開いて。

『……胸、大きくなった?』
「もう何なんだよお前死ね。ていうかもう戻ってくるな」
『冗談だよ……』『こっちこそ、ごめん』
「……先輩は悪くありませんよ。……わたしが一方的に避けていただけですから」
『だけど』『泣いてるっぽかったから……』
「ぅ……」
『あーもう……雀ちゃん可愛すぎ……益々好きになっちゃいそう』
「……どーも」

 ギュッと更に抱き締めて、頭を撫でてくる禊先輩。
今まではイヤだったけど、今は悪い気はしない。
そんな事言ったら、調子乗るから絶対に言わないけど………………って。

「太ももを触るなあああああああああ!」
『ぐふっ!?』『雀スタイル……!』
「……全く……油断も隙もないんですから……。…………やっぱり、気のせいでした!」
『え!?』『ちょっ、ちょっと雀ちゃ〜ん!』
「知りません。私鴎と帰ります」
『え、せっかくだから一緒に帰ろうよ!』『恋人になったんだし!』
「なった覚えありませんから! 告白した覚えもありませんから!」
『照れてるの?』『可愛いなあ〜!』
「ダメだこの人……マジで頭沸いてる」
『ね? 帰ろう!』『雀ちゃん』
「……」

 純粋無垢で、屈託のない笑顔を浮かべる禊先輩……カッコイイなんて思わないぞ……。

『さ、行こう?』
「……はぁ……分かりました、帰りましょう」
『やった!』『じゃあ行こうか!』
「帰りにアイス奢ってくださいね? ……手、繋ぐかわりに」

 自然に握られた手を握り返して言えば、先輩は笑顔で頷く。
つられて私も笑みを向けて、教室を一緒に出て行く。

「(これにて一件落着、なのだろうか……?)」

 こうして、禊先輩とわたしの、友達以上恋人未満な奇妙な関係が生まれたのだった。

『一線越えちゃう?』
「窓から突き落としますよ」

 まだまだわたしの受難な日々は続きそうです。

END















『終わりかと思ったか?』『あめぇよ』
「先輩うるさい。……こほん。まだ、シリーズは一応続きますので、これからも宜しくお願いいたします」




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