どうすれば雀ちゃんに振り向いてもらえるかを、学校へ行きながら考える。なぜだか彼女には変態認定されてしまったし……普通にしてるより変態キャラとして接していったほうが良いかな。
それよりも今日の雀ちゃんのパンツの色は何色だろう、上手くいけば拝めるかも知れない、男としては転んだ拍子ってのも良いけどやっぱりジャンプでやっていたハーレムえろちっく漫画みたいにスカートの中に頭突っ込むってのも良いな。……うん、あわよくば顔面一杯に雀ちゃんの、
「なに気持ち悪い顔してるんですか球磨川先輩」
『いや雀ちゃんのパンツをどう見ようかって、』
「最っ低! もうなんか気持ち悪いですよ!?」
『失礼な! 男のロマンについて研究しているだけなんだよ!』
「研究してないじゃないですか! 馬鹿なんですか!」
スカートを必死に押さえて僕を睨みつける雀ちゃん、ああそういう目も良いね。ぞくぞくする。正直僕自身もここまで彼女に惚れ込むことに驚いていたりもしている、それだけ彼女が魅力的ってことだね!
『雀ちゃ〜ん、パンツ何色?』
「わああああああああくっ付くな変態!」
『え、それ、鋏』
雀のか細い腰にしがみ付いた瞬間、彼女はどこからか鋏を取り出して振り上げた。それからの意識はない、まあ僕が悪いんだけれども。
*
『いてて……』
「なにをしているんだ貴様は」
「ったくホントアホだよなぁ」
突き刺さった鋏を抜いている間に、雀ちゃんがこんな変態と二人きりになりたくないという理由でめだかちゃんと善吉ちゃんを呼んだらしい。待っている間雀ちゃんは僕を、そりゃもうゴミを見るかの勢いの如く見ていた。
「変態という話は聞いていましたが、ここまでとは呆れましたよわたし」
『それくらい君にべた惚れなんだよ!』
「もうちょっと普通に出来ないんですか」
「球磨川、雀は私が認めた相手しか付き合わせないぞ」
「めだかちゃんは保護者かよ」
善吉ちゃんが呆れたように言葉を言い放つが、当たり前だろう、と言う表情をしているめだかちゃんに雀ちゃんも困ったように笑っている。なんか、彼女って周りの人間に凄く愛されてるんだなぁ。
「ほらほら、めだか、善吉、学校遅刻しちゃうから行こう」
『え、雀ちゃん僕は?』
「すみませんどちら様ですか」
『存在否定された!』
ちょっと禊ちゃんショックよ! なんて大袈裟にハンカチを噛み締めて泣くマネをすれば善吉ちゃんに至ってはめだかちゃんの手を取って先に歩き出しちゃったし。雀ちゃんもゴミを見る目で僕を見た後に踵を返して歩き出す始末。え。
『……放置、プレイ』
なにこれ寂しい。ちょっと本当に心が痛んだので道路に座ったまま項垂れていると数秒後にローファーが道路を叩く音が耳に入った。え、誰、なんて思っていた矢先に目の前の人物はすっと僕の目の前に腰を落とす、あ、見えた。
「ほら、球磨川先輩行きますよ」
『!』『雀ちゃん……!』
パンツを拝みたかったけど、それよりも耳の中に入ってきたエンジェルボイスで思わず顔を上げれば呆れたようにしつつも、手を差し伸べてくれる雀ちゃんがいた。なにこの子天使か、いや天使だった。後光が射し込んで彼女の背中に真っ白い羽根が見えるよ。天使じゃないな、女神だ。
『ありがとう!』
「あ、こら手を離せ!」
『このまま手を繋いで行こう!』
「あーもう……尊敬するくらいですよ」
額に手を寄せてため息を零す雀ちゃん。どうしたんだろう、幸せ逃げちゃうよ。
『ね、今日はピンクなんだね』
「なにがですか?」
『パンツ』
「死ね」
さっきよりも素早い動きで何かが飛んできて、気がついたら辺りは暗くなっていて誰もいなかった。一日放置されたみたい。
これについては今では奥さんである雀も反省している、なんてたまに謝ってくる。僕的には新たなプレイかと思えば興奮するよ、なんて言ったらあの時と同じようにゴミを見る目で見られたのは良い思い出。燕と雪に悪影響だけは与えないで、と釘を刺されるくらい重症らしい。
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