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 初めて会ったのは、正直よく覚えていない。けど鴎くんが姿を現した後、暫くした時にフラッと生徒会に現れたのが雀ちゃんだった。転校生にも関わらず変わり者扱いされていためだかちゃんととても仲良く会話をしている姿を見て驚いた記憶がある。

『めだかちゃん、その子は?』
「弟くんの従妹であり私の血縁関係者だ」

 ややこしいな。けどつまりはめだかちゃんの知り合いという事か。善吉ちゃんとも何度か昔会った事あるらしいけど双方ほとんど覚えていないみたいだった。

「えっと……初めまして、鶴喰雀です」

 背筋はピンと伸びていて、身体も真正面を向いているのだけど、視線が合ってない。どうやら鴎くんと同じように他人と視線を合わせられないらしい、キョドッたりはしないらしいけど。

『初めまして! 僕は球磨川禊です!』
「球磨川先輩」
『宜しくね鶴喰ちゃん!』『ってのは鴎くんと被るから遠慮なく名前で呼ばせて貰うからね』
「あ、はい」

 相変わらず視線が合わない。可愛い子なのになー、そう思ったらもう既に僕はこの子に惚れかけていた。ほんと惚れっぽいよなー、我ながら呆れるぜ。

『雀ちゃん可愛いね! 何色の下着穿いてるの?』
「え、死んでください」
「球磨川、雀をからかうな」

 めだかちゃんに睨まれた。とその前に、しんそこ憐れみかつゴミを見る目で僕と見る雀ちゃんとばっちり目が合った。それと同時に高鳴る胸の鼓動。こりゃ本物だ。気がつけば身体が熱くなっていて、なんかもう色々やばかった。

「球磨川先輩って変態なんですか?」
『変態と言う名の紳士だよ!』
「うわ、めだかわたしこの人苦手」
「こういう人間だ、仕方ない」

 めだかちゃんちょっとはフォローしてよ。地味に傷付くんだけど。一度変態と認識されたら扱いは酷くなるのは覚悟のうえだ、雀は僕から視線を外すと踵を返す。

「じゃあ、わたしこれで失礼します」
「ああまた来てくれ」
「もちろん」

 にっこり笑って席を立つ雀ちゃん。ああ行っちゃう、どうしよう、ここで男なら行動に出たいけどついさっき変態と認識されちゃった僕としてはどうする事もできない。けどここで引いたらもう二度と会えないだろう。
 手を伸ばそうとした瞬間に、雀がコツンと段差に躓く。

「あっ」
『!』

 悶々と離れていく後姿を眺めているうちに、雀ちゃんは身体を前に倒す。咄嗟のことで身体が硬直するかと思ったら手は伸びていて、僕は何も言わずに前に転びそうになった彼女の身体を支えた。支えた時にお腹に手を回そうと思ったけどうっかり胸に触っちゃったけど大丈夫だよね。

「……あれ」
『大丈夫? 怪我してない?』
「えっと、はい。平気、です」

 じんわりと雀ちゃんの身体が熱くなって、耳が赤くなるのを間近で見た。胸に当てていた手から心臓の動きが伝わってきて僕もなぜだか顔が熱くなった。
暫くそのままで固まっていると、めだかちゃんがなんとも言えない微妙な表情で言い放つ。

「いつまで雀の胸を揉んでいるんだ」
「あっ、このっ、変態!」
『僕助けたのに!』

 胸を触っていた左手を叩かれてすぐに身体を離す。めだかちゃんは「あまり球磨川に近付くな」と言って雀ちゃんをかくまうようにしているし。いやだなぁ、今の過負荷な僕にありがちなうっかりミスだよ。
 てへぺろと拳をこっつんこする。

『転んだら危ないと思って支えたんだよ』
「だったらすぐに手を離してくださいよ!」
『いやぁ、妙に柔らかくてさ』
「めだか、この人殺して良い?」
「すぐに生き返ると思うぞ」

 めだかちゃんの言葉に、訝しげな目で僕を見る雀ちゃん。うーん、好きな人にそんな目で見られるとゾクゾクしちゃうかも。

『これから宜しくね、雀ちゃん』
「絶対宜しくしません!」

 出会ったときは、学園でどんな事件が起きていたか殆ど覚えていないのに、この時の視線を合わせない未来の奥さんは写真のようにくっきり、鮮明に覚えているのはなんでだろうね。


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