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「#エロ」のBL小説を読む
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※球磨川くんとの間に子どもいます。子どもは名前固定でオリキャラです。





「ねえねえおとうさん」
『どうしたの?』

 リビングのソファでテレビを観ていたら、とんとんと肩を叩かれたので振り返れば自分を瓜二つの顔が見える。顔は僕と同じだけど、髪型は妻の雀と同じだ、髪色も彼女と同じ。ああ相変わらず可愛いなぁ、雀と同じくらい愛してる。目を細めて見ていると、息子の球磨川雪(くまがわ そそぎ)齢十歳はきょとんと小首を傾げた。

「お母さんはどうして、お父さんと結婚したの?」
『うん?』

 なんだか質問の順序が違うような気がする、けどまあ特に気にする点ではないだろう。というかなんでそんな事を聞くんだろう。今は妻の雀と、雪の妹もとい僕の娘燕(つばめ)は買い物に出ているから男同士の話し合いをしたいお年頃なのかな。

『それはね、お母さんがどうしてもって言うから』
「どっちかというとお父さんじゃない?」
『……また勝てなかった』

 毎回我が息子ながら頭が上がらない、妙に鋭く頭が良い。本気から冗談の嘘まで見抜いてしまうし。全く誰に似たんだろうか。
ふうと一息ついてソファに身体を沈みこませて雪に声を掛ける。

『いきなりそんな事聞いて、どうしたの?』
「んーなんとなく。今暇だし」

 とてとてと僕の隣にやって来てソファに沈み込んだ。んー、結婚したか、そりゃ純粋に好きだったからと言いたいけどそしたらせっかくの親子コミュニケーションが途絶えてしまう。ならいっそ二人の昔話とかしてみるのはどうだろう。

『まあ結婚したのは、普通に好きだったからだよ』
「ふうん?」
『けどそれだと話が終わっちゃうから』『僕とお母さんの昔話でもしようか』
「昔話!」

 手をひらひらさせて言えば、雪はパッと表情を明るくさせた。興味が湧いたときに見せる顔は雀そっくりで笑いそうになる。

『まあざっくり最初に言うと、出会ったのは高校の時だね。僕が一個上なのは知ってるでしょ?』
「うん。お父さん先輩って鴎おじさんから聞いたし」
『そうそう、ま、出会ったあとから付き合い初めまで』

 目を閉じて、昔の記憶を探る。思い浮かぶのは猛アプローチしている僕と、それを懸命にあしらう雀の姿。あれ。

「お父さんは、凄く変態だったって聞いたけど」
『嫌だなぁ、それは誤解だよ雪』
「まあ今もだいぶ変態だけどね」
『コラ』

 どの口が言うんだ。と思い切り抱き締めればきゃーなんて女の子みたいな声でじたばた暴れる雪、うぉっ意外に力が強い。十歳とて侮れないか。

『お父さんは、普通の高校生だったんだよ』
「じゃあお話聞かせて!」

 膝の上に座って息子の頭を撫でれば気持ち良さそうに目を細める。僕の昔話、雀に惚れてからの日々。

『じゃあ、昔話の始まり始まり〜』

 おどけたように言えば、息子の雪は手を叩いた。

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