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 なんやかんやで禊くんと付き合うことになりました。ただ関係性が変わっただけで特にこれといった変化はないけれども。

『雀ちゃーん!』『×××しようよ!』
「大きな声でなんてこと言ってるんですか!」
『やだなぁ、冗談だよ』『可愛いなぁ』
「……」

 前言撤回。ある意味変わった、悪い方向に変わりました。今まで以上にオープンなセクハラど変態になった。
まあ冗談なのは分かってるけど公共の面でやられると困る。

「あ、そうだ……禊せ、くんお願いってなんですか?」
『やっぱりまだ慣れない?』
「まぁ、今まで先輩呼びでしたし」
『ふむふむ』

 付き合った当日にいきなり『先輩じゃなくて、くん付けにしよう!』と言われた。まあわたしとしては特に断る理由は無いから二つ返事でオッケーしたけど如何せん慣れない、息するように先輩って連呼してたし。
 まあそんな事は置いといて、朝一緒に登校していたらお願いがあるんだ、放課後教室で待ってて的な事を言われたから待ってたらこの有様。結局なんなんだ。

「じきに慣れると思いますよー、それでお願いって?」
『あ、そうそう。今度コスプレして写真撮らせてくれない?』
「シザー・ザ・リッパー」

 にっこり笑顔で言う禊くんに私は問答無用でスキル発動。鋏で串刺しにされた禊くんを暫し観察。
 ていうか何言ってんのこの人? ついに頭沸いた? いや、まあ沸いているのは元からだと思うしこの人変態変人ロリコンの三拍子だしマイナスだし括弧付けなきゃ喋れないけどいきなりこんな突拍子もない事を言う人でしたっけ、いやする人でしたね。なんの問題も無かった。

『いてて……』『雀ちゃん相変わらず容赦ない』
「そりゃいきなりコスプレ写真撮らせてくれって言われたらこうしますって」
『えーでも彼女じゃん?』
「……」

 彼女、その言葉が私の中で木魂する。彼女、なんと良い響き……。ってあれ何か絆されてる? いやいやいやここは正気になれわたし。

「彼女とかそういう問題じゃないですから! その写真何に使う気ですか」
『ナース、いやセーラーも捨てがたいね……』『あ、でもメイドとかも……』
「おーい!?」

 ニヤニヤしながらぶつぶつ呟く禊くんはとても気持ちが悪い。若干、いやかなりドン引きしつつ妄想の世界に浸っている禊くんを叩いて現実世界へと冷めさせる。
 すると正気になった禊くんはわたしに飛びついてきた。

『ねえいいでしょー?』『絶対似合うって!』
「絶対着ませんから、絶対っ!」
『え、メイドの方が良かった?』
「会話のキャッチボール!」

 腰に纏わり付く禊先輩はそのままにして、言葉の攻防戦が始まった。抱きつくくらいのスキンシップは全然構わない、変なところ触ったら問答無用でしばくけど。
 あー、もう、この変態は死んでも治らないのかな。まあそれが先輩の良い所でもあるような気がするけれども。

『お願いだよー……雀コレクションも更新したいんだよ』
「まだ止めてなかったんですか!?」
『五冊目に突入したよ』
「威張るなアホ!」

 なにに使って、いやもう分かってるから敢えて聞かない。けれどもコスプレかー……正直可愛い衣装とかは嫌いじゃない、ナースとかメイド……一生に一回は着てみたいと思うけれどもそれを写真に収められるとどうもな。

『あ、ちょっと着てみたいと思ったでしょ?』
「うっ」
『じゃあ利害一致だね!』『さっそく雀ちゃん家に行って写真会しよう!』
「いやいやいや勝手に進めないで! わたしの家鴎いるし!」
『あ……そっか』
「はいはいだから写真会は無しで!」

 鴎がいる中でコスプレとか恥ずかしすぎて死ねる。さすがにそんな醜態は見せられないぜ。
 上手く交わせたと思ったけれど、禊くんは諦めなかった。

『うーん……じゃあここでやろうか』
「は?」
『さあ、鍵は最初から掛けてあるから安心して!』
「絶対ここでやるつもりだったでしょ!?」

 じり、じりと近寄る禊先輩。やばい、目が本気だ。しかもどっから出してきたのかちゃっかり両手にナース服とかメイド服と持ってる。奥の方に目をやると紙袋がありそこからチャイナ服っぽいのやバニーガールっぽい服が見える。
 ヤバイ、頭の中で警報が鳴り響く。

『さあ、脱がしてあげるから万歳して』『雀ちゃん!』
「ひっ……! あ、安心院さあああああああああああん!」

 身の危険を感じて思わず安心院さんの名前を呼んでしまったけど、まあ来るわけないよね……あれ、これってフラグでは。

「呼ばれて飛び出てジャジャジャーン。安心院さんとーじょう」
『!』
「安心院さああああああん……!」

 華麗に天井から出てきた安心院さん、相変わらず美しい。めだかちゃんと同じくらい美しい。
 感動で安心院さんに抱きつくと安心院さんは「よしよし、可愛いなぁもう」なんて言いながらわたしの頭をよしよしと撫でてくれる。

「さて僕の可愛い可愛い雀ちゃんに手を出そうとするなんて球磨川くんは命を自ら捨てたようなものだよ」
『え、ちょ……まっ』
「安心院さんパーンチ」
「雀、見ないほうが良い」
「え、反転院さん」

 ぐいっと肩を引き寄せられたかと思ったら、なぜだか反転院さんがいた。彼の名前を呼んだ瞬間にわたしは反転院さんの手で目を塞がれた。
 その瞬間禊くんかと思われる断末魔が教室に響き渡る。ああ、これは安心院さんパンチでやれたな。

「(今まで有難う御座いました禊くん)」

 まあ普通に生き返ったけれど。


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