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パパ達の晩餐会
 グレゴリーハウス中に存在しているバーでは、いつものようにクロックマスターが飲んだくれていようとしていた。

「……おや、クロックじゃないか」
「その声はリヴァルか」

 カランと扉が開かれた。
現れたのはマントを外している、吸血鬼のリヴァルが出てきた、声に気付いたクロックマスターは声を発する。

「珍しいな、お前がこんな所に来るなんて」
「いつも以上に出張が長引いた上に疲れたからな……酔うまで飲むぞ」
「そうこなくっちゃな。じゃあ私も移動しようかな」
「……おや、皆さんお揃いで」
「ミイラさん」
「こりゃ偶然だ」

 丸テーブルに移動したクロックマスターとリヴァル、椅子に座ったときにまた扉が開かれて、そこにはミイラパパが現れた。

「何かあったのですか?」
「いやぁちょっと疲れが溜まっちゃったみたいで、飲んで忘れようと思いましてね」
「はは、そうか。じゃあせっかくだから三人で飲みましょう」

 そして三人の晩酌が始まった。

「今日はお子さんは?」
「部屋にいますよ、リヴちゃんと遊んでいるみたいです」
「そういえばマイサンもリヴのところに遊びに行くと言っていたな」
「いつも子供の面倒を見て貰ってスミマセンね……息子も思った以上に彼女を気に入っているみたいで」
「いやぁ面倒見がいいですよね、リヴは」

 ミイラパパとクロックマスターに子供を褒められたリヴァルは嬉しそうに笑いながら酒を口に含んだ。

「そういって貰えると嬉しいですねぇ、娘も小さい子好きですから」
「女の子がいるだけ空気も全然違いますしねぇ、息子もお姉ちゃんお姉ちゃんといつも言っているのですよ」
「いやいやそりゃあリヴも同じですよ。たまに遊んでいるのを見かけますが本当に嬉しそうですし」
「娘はいいものですね、うちももう一人くらい作ればよかった」

 クロックマスターが酔い始めたのか頬を少し赤くしながら言葉を発する、その言葉に対してリヴァルは。

「いやぁ……今はまだ可愛いですけど、いつかお嫁にいっちゃうと思うと……! うぅっ……」

 グビィッと一気にグラスに入った酒を飲み干したリヴァル、目じりに涙が浮かんでいる。

「確かにお嫁に言ったら寂しいなぁ……」
「リヴちゃん可愛いから、すぐに相手見つけちゃうかも知れませんね」
「うぅ……! 俺が認めた相手じゃないと結婚なんかさせません!」
「その前にお付き合いがありますね」
「案外相手は近くにいるかもな」

 クロックマスターの発言に、リヴァルの顔は青ざめていく。

「審判小僧さんなんかとは結構仲いいですよねぇ」
「交友関係広いからなぁ、カクタスガンマンなんかも諦めてないんじゃないか?」
「そ、そういえばタクシーさんも結構狙ってる雰囲気が……! て、敵はこんなにいるのかあああああ!? うあああああああ!」

 机に突っ伏して泣きながらリヴァルは注げたした酒をまたグイッと飲み干す。

「ま、敵が現れたら血を吸っちゃえばいいんですよ! 吸血鬼なんだから! あはは!」
「なにかあったら、わたひがじかんもどひますよ〜! ときのしはいしゃでふからね〜!」

 ミイラパパがニコニコ笑いながら、おつまみを食べる。
クロックマスターも呂律が回ってないが喋り続ける。

「そういう二人も、いつかお子さんが反抗期になりますよ!」
「ん〜……うちは多分大丈夫だと思いますよ〜あはは」
「まいさんがはんこうきになったら、わたひさみしいよ!」
「うっうぅ……リヴウ〜……」

##

 そして一時間後……。

「あはは〜、なんなら僕がリヴちゃん貰いますよ〜ていうかミイラ坊やのお嫁さんなんかいいかもですね〜あはは〜」
「リヴはマイサンの嫁にすればいいんじゃないか〜?」
「……リヴ〜……父さん置いていかないで〜……」
「あはは〜置いてかれますね〜あはは!」
「まいさんはいっしょうわたひのむすこだぁ〜!」
「うぅぅぅっ……! 昔はぱぱだいすき〜って言ってくれていたのに〜!」
「いつか親元を離れていくものですよ〜あはは〜」
「まいさん〜!」

 べろんべろんに酔った親父達は支離滅裂な会話を繰り返している。
ミイラパパはニコニコしながらおつまみを物凄い勢いで食べていき、リヴァルはグラスを手に持ったまま机に突っ伏してめっちゃ泣いている、クロックマスターは息子の名前を言いながら酒をグイッと飲んでいる。

###

 一方その頃、バーで飲んだくれている親父達の子供は。

「ふわぁ〜……眠いねぇ」
「父ちゃんってばまた飲んだくれて……」
「父ちゃん寝ちゃったかなぁ?」

 左右にマイサン、ミイラ坊やを挟んで手を繋ぎながらリヴ達は父親を迎えに行くべくバーへと足を運んでいる。

「父さんもバーにいってるなんて珍しいなぁ……なにかあったのかな」
「おねーちゃん、今日おねーちゃんの部屋に行っていい?」
「うんいいよ〜。マイサンも来る?」
「うん! 行く!」

 ニコニコしながら三人は廊下を歩いて行く、とても和む光景である。

「おや、和む光景に出会ったな」
「ゴールドさん」
「こんな時間にどうしたんだ?」
「あのね、父ちゃん達のお迎え行くの」
「父ちゃんまたバーで飲んでるみたいだから」
「そうだったのか、私もバーに用があったんだ。一緒に行ってもいいかい?」
「もちろんですよ」
「こうして並んでると家族みたいだなぁ」
「ゴールドさんがお父さんで私達が子供なんですね」
「……冗談でもノッてくれよリヴ……」
「さぁ行きましょう!」

 四人で仲良くバーへと向かう、そして扉を開くと。

「あはは〜リヴァルさん、そうとうな親馬鹿ですよね〜あはは〜」
「わたひだってまけんぞお! わたひはときのしはいしゃだからなあ!」
「リヴ〜……パパを一人にしないでくれ〜……」
「……」
「……」
「父ちゃん、すっげー酔ってる……」
「あんな父ちゃん始めてみたよ!」

 ニコニコ笑いながらリヴァルの頭に空になったコップを乗っけてどこから持ってきたサインペンでリヴァルの顔に落書きしているミイラパパ、テーブルに突っ伏してボトルを子供のように抱きかかえて泣き喚いているリヴァル、テーブルに片足を乗っけて「タイムイズマヌェエエエエエ!」なんて叫んでいるクロックマスター。
阿鼻叫喚の地獄絵図だった、ゴールドとリヴはかなりドン引きしている。

「あ。ミイラ坊やじゃないか〜あはは〜」
「父ちゃ〜ん!」
「まいしゃああああああん! ぱぱにあいにきてくれたのかあああ!?」
「……父ちゃん、俺今凄く情けなく感じる」

 こちらに気付いたパパ達は、子供達に向かってぶんぶん手を振っている。かなり酔っている様子が伺える。

「リヴ〜! パパにあいにきてくれたのかぁ〜?」
「うわっ!? 寄るな酒臭い!」
「……」

 パパ達はそれぞれの子供を抱き締めて頬ずりする勢いだった、が、すぐに床に吸い込まれるように倒れた。

「……こりゃダメですね」
「君たちはもう寝なさい、こいつらは私が処分しておこう」
「お願いしますゴールドさん。じゃあミイラ坊や、マイサン、部屋に行って寝ようか」
「父ちゃんたちいいの?」
「うん、ゴールドさんがなんとかしてくれるよ」
「じゃあお部屋行く、僕眠い」
「うん。……ゴールドさん、外に放り出しても構いませんから」
「まあ考えとくよ、おやすみ三人とも」
「おやすみなさい」
「おやすみ〜」
「失礼します」

 そういって三人はバーから出て行った。

「……さて、この親馬鹿共どうするか……」

 ゴールドは困った顔をしながら、床に寝そべって自分の子供の名前をぶつぶつ言っている父親を見下ろしながら呟いた。
グレゴリーハウスの夜更けはまだ長い……。

パパ達の晩餐会
(……うぅっ……頭痛い)
(おはようお父さん。二日酔いじゃないの? ていうか昨日のこと覚えてないの?)
(ああ……断片的な記憶があるのだが……それにこの痛みは二日酔いとは別のなにかが……)
(自業自得だ)
(親分今日機嫌悪いなぁ)

********************************
親父達を出して子供について語り合ってもらいたかったから出来たもの(笑)
子供達の父親に対する呼び方が分からないので、誰か教えてください切実に、あと一人称も。
この親父共は全員酒が弱いと思います。リヴァルさんは二人の親父のことを「クロック」と「ミイラさん」と呼んでいます。
あとどうでもいいけど、クロックマスターは酔ったら一人で騒いで机とかに足乗っけてぎゃーぎゃー言ってると思います、んで静かにどっかで寝ている。そしてミイラパパは一人でニコニコしながら悪戯とかしてると思います、人の愚痴を笑っていたりするかも知れませんね、酔ったときの口癖は「あはは〜」です。リヴァルさんは簡単、泣き上戸、色々言いながらメソメソやっています、過去のことを思い出しながらめそめそやってます。
因みにゴールドさんの機嫌が悪いのは、酔った父親ともが子供と勘違いして飛び掛ってきてそれぞれ殴ったからです。

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