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GHS
作戦大成功
「リヴ」
「な、なに?」

 何だかなんだか分からないまま、私は背が伸び顔立ちが大人っぽくなって、声が低くなって、体つきが男性特有のしなやかなラインを持ったジェームスに壁ドンならぬ階段ドン(って言えば良いのかな?)をされている。
いやいやいや意味が分からない、なんでジェームスが大きくなってるの?

「緊張してるの……?」
「っ!」

 クスクスと(仮)大人ジェームスに低い声で耳元に囁かれる。
ふわりとジェームスの骨ばった掌もとい手が頬を謎って髪の毛に絡み付いてくる。
予期せぬ展開に戸惑いながら大人ジェームスのカッコよさに心臓が物凄いバクバク言っていて顔に熱が篭りすぎて火が出るんじゃねーかっていうくらい熱い。

「ねえリヴ、今凄い緊張してる?」
「ぅ……ん……」
「そっか、可愛いねリヴ」
「ジェームス……どうし、たの……?』
「リヴがいけないんだよ、僕をずっと子供扱いするから……」
「え……?」
「だけど今は違う。リヴよりも高い目線に立って、こうして閉じ込められる大きさになった。……やっと同じ立場になれた」
「ジェー……ムス……」

 首元に顔を埋めて、自分に暗示をかけるように呟くジェームス。
よく分からないけどなんとなく辛そうにしているのが分かる。

「好きだよ、リヴ。大好き」

 顔が離れたと思ったら、真っ直ぐな視線で貫かれたような思いに駆られる。

「っ……!?」

 頭が本当に真っ白になってパニっくになって何を言えば良いのか分からない。

「ぇ、ぁ、」
「リヴ……」

 スッとジェームスは私の両頬に手を添えて、顔を近づけて来る。

「……!?」
「?」

 ポンッと小さな音が響いて、私に覆い被さっていた影はいつの間にか無くなって、ギュッと目を瞑っていた目をおそるおそる開く。ポカンとした表情の子供のジェームスが私の目の前で座っていて、あどけない幼い表情で私を見上げている。

「……え? あれ?」
「……?」
「え? なんで? ……戻っちゃった……」

 困惑した表情で自身の小さな両手を交互に見合わせてジェームスは声を発する。

「一時的なものだったんだ……」
「そ、んな〜…………」

 がっくりと項垂れるジェームス、……可愛い。思わず笑みをこぼれてしまう。

「ジェームス……」
「……なに?」
「無理に、焦って大人にならなくてもいいんだよ? 大人って、色んなものを沢山経験してなっていくものだし」
「……むう」
「ちょっと吃驚したけど……」
「じゃあ、待ってて……リヴ」
「ん?」
「僕が、本当にリヴよりも高い目線に立って、閉じ込められる大きさになるまで……待ってて」
「……ジェームス……」
「リヴの事が本当に好きだから」
「……ん。分かったよ、待ってる、絶対に」
「ほんと……?」
「うん、絶対に待ってるから」
「……」

 ギュッとジェームスは私の体を抱き締めている。

「絶対だからね! 約束破ったら許さないよ?」
「はいはい」
「もうっ、子供扱いしないでよ!」
「ふふごめんね? ……さて、そろそろ寝る時間だからジェームスは部屋に戻りな?」
「えー……一緒に寝ようよ」
「何言ってるの……」
「ちぇっ。まあ良いや、もう少し経てば一緒にいられるし」
「……え?」
「なんでもない。じゃあ部屋に戻るね!」
「う、うん」

 立ち上がったジェームスは、くるりと踵を返して自室へ戻っていこうとしたが、またすぐに振り返って。

「ねえ、リヴ。これくらいは約束として良いよね?」
「ん? ……っ」

 チュッ。と唇に柔らかいものが触れた、一瞬何が起こったのか理解できずにいるとジェームスの顔がゆっくり離れて、悪戯をし終えた時みたいににんまりを笑った。

「にひひ、ファーストキスもーらい!」
「なっ……ジェ、ジェームスウウウウウウウ!」

 恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にした、私の大きな声がグレゴリーハウスに響き渡った。

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