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▼獄都☆光クラブ 2015/03/27 19:48


「……シンドウ」
「どうしましたジャイボくん」
 僕よりも幾分年上で、人間ではない新胴。ゼラが妙に構うから気に入らなかったのに、慣れ慣れしく僕に話しかけてくるこいつが嫌いだった。何度か殺そうと試みてもすぐに再生しちゃうし。なんなのコイツ、ほんと気に入らない。気に入らない、はずなのに、傍にいると落ち着くのはなんで。
座っていた新胴の背中に寄りかかれば、新胴は笑いながら僕の頭を撫でる。
「ジャイボで良いって言ってんじゃん」
「距離を縮めてしまうと別れが悲しくなりますし」
「……ほんとに帰る気なの」
「自分の居場所はここではないですから」
「……」
 唇をぎゅっと噛み締める。話しを聞けば獄卒はたくさんいるらしい。今回のお仕事は新胴だけらしいけど。
「寂しいんですか?」
「そんなんじゃないから! きゃはっ、勘違いしないでよね!」
 図星をつかれたから声を荒げて言えば新胴は目を細めて笑った。なんなの一体、やっぱり嫌いだ。僕の一番はゼラだ。
「ジャイボくんは、ゼラくんが一番ですもんね」
「そうだよ、そうに決まってるじゃん」
「やっぱり、大切な人の傍にいたいと思いますよね?」
「当たり前じゃん」
「……やはり、人間なんですね」
「きゃはっ、なに言ってるの? 意味分からない」
 細められた目は妙に澄んでいて、ほだされそうだ。
「ジャイボくんと同じように、自分も傍にいたいって思ってる人がいるんです」
「っ!」
 見透かされてる、酷く寂しそうに笑った新胴に泣きそうになった。僕は、僕はゼラだけがいれば良いのに……なんで。
「恋人?」
「はい。……とても、大切な人です」
「そう……」
 こんな惨めな思いをさせる新胴なんて、殺してやりたい。殺すことは出来るけど、彼女はあっと言う間に生き返ってしまう。
「シンドウは、ずるい」
「ジャイボくんの倍以上生きてますからね」
「……嫌いだよ」
「うん」
 頬が濡れていく、新胴は笑ったまま僕の頬を撫でるだけだった。ゼラ、ゼラ……僕はどうすれば良いの。

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ジャイボくんが報われない。なんとなく新胴ちゃん自身もみんなの死期が近いことを察していたら面白い。
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