今年もよろしくお願いします


 ちら、と隣を見る。
 そこには、真剣に拝むソイツの姿があった。目をギュッと堅く閉じて、何かを熱心に思っている。
 俺はソイツから目を放し、前を向く。そこにはお賽銭箱があり、周りの人が次々にお金を放り込んでいた。
 ソッと目を閉じ、手を合わせる。さて、何を願おうか。



「ねえ、さっき何を祈ってたの?」
「は?」
「だから、何を願ったの?」

 ソイツは、神社からの帰り道に訊いて来た。

「……何でも良いだろ」
「教えてくれないの? アンタが珍しく優しい顔して祈ってるから、なんかあるのかと思ったのにさ」
「な、見てたのか!?」

 ソイツは嬉しそうにニヤッと笑う。それが何だか悔しくて、俺はコホンと1つ咳払いした。

「じゃあ、お前は目をブサイクな程堅く閉じて、何祈ったんだよ」
「ちょ、何で見てんの!」
「ほら、教えろよ」
「わ、私が何祈ろうと私の勝手じゃん!?」

 ソイツは顔を赤くし、そっぽを向いた。俺は何だか楽しくなって、思わず笑ってしまう。

「なっ、何ニヤニヤしてんの!」
「そんなの俺の勝手だろ?」

 ソイツはぐっと押し黙った。

「も、もう、何て祈ったか教えてやんないから!」
「あー、なんかだいたい分かったし良いよ」
「え、何で分かったの!?」

 ソイツの言葉に俺はニンマリと笑う。

「俺と、一緒にずっと過ごせますように、とかだろ? どーせ」

 ソイツは頬をこれ以上ない程赤く染め、俺の足を勢いよく踏んだ。

「いっ……」
「どーせとか言うな! ……じゃなかった、自惚れんな!」

 言い切り、ソイツは体ごと俺に背を向ける。
 その様子が凄く可愛くて、俺はソイツの頭をガシガシと撫でた。

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