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コンビニのゴミ箱に弁当の入れ物を入れ、廃墟へと歩みを進める。
あの女、なんで俺に話しかけてきたのだろうか。俺の名前も勝手に決めていたし。
"クロ"の次は"ギン"か。
まあ、変なのじゃなければ別になんでも良いんだけど。
そういえば、あの女は自分に名前を教えなかったな。
甘い、良い匂いがしていた。
きっとあの女には素敵な家があるのだろう。仲の良い家族も居て。
そんな想像をして、俺はちょっと羨ましいと思った。
自分の想像で人を妬んでしまった事で自分が少し嫌になった。
* * *
眼が、大きくてクリクリしていた、気がした。その中の瞳には、自分が映っていた気がして、今更ながらドキリとした。
なんでそんな女が川原なんかに居たんだろう。なんで俺に話しかけてきたのだろう。分からない事ばっかりだ。
また、あの女は川原に来るだろうか?
廃墟の前に、着いた。
俺はあの女の事で頭が混乱していた。
まるで、夢みたいだった
もう俺に関わるなと言ったのを忘れていた。
△ ▽
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