夜埜様へ2000ヒット記念

「それで、次の獲物は何処だ?」

蒼が、大きなステーキをナイフで切り分けながら慧に訊いた。

「さあ……まだ連絡来てませんけど。気になるならコレ、蒼が持ってます?」

そう言ってチラチラと無線機をちらつかせる。

「いや……良い」

「そうですか」

慧はポケットに無線機をしまった。

「慧がせっかくアンタのタメに気を利かしたのに何で断ってんだよ!」

俊が最後の一口を口に運びながら言う。

「アレ、急に鳴りだすだろ」

蒼は悪びれる事なく俊に言い放った。

「そんなにお前が持ってたいなら借りれば良いだろ」

碍がグラタンを冷ましながら言う。

「先輩……違うんスよ……。それもあるけどそれだけじゃないんスよ……」

俊はレストランには似合わない暗い雰囲気を出しながら(今にも"の"を大量生産しそうな勢いで)、チラッと慧を盗み見た。

慧はそれに気付かず、スパゲティをフォークでぐるぐるとしながら集めていた。

「可愛いなあ、慧……。俺もああいう風に絡め取られたい……」

「え……」

俊の隣に座っていた龍が、そのつぶやきを聞いてしまい、ミートドリアを口に運んでいた手が止まった。

「そうか、お前そんな趣味があったのか」

同じく聞いてしまったらしい蒼が、眼鏡をぐいって押し上げながら言った。

ステーキは無くなっていた。

「そんな趣味って何スか。……ま、まさか俺の心を声が聞き取った……!?」

「違ェよバカ、思いっ切り喋ってたぞ」

「ま、マジっスか先輩!?」

「ああ、大マジだ」

狼狽える俊にため息をつきながら、龍は慧を見やる。彼女は最後の一口を美味しそうに食べていた。

「どうしたんです?」

「いや、なんでもないよ」

自分の視線に気付いた姉に、龍はなんだか嬉しくなった。さっき、俊が見つめていた時は気付かなかったのに。

やっぱり双子は通じ合うものがあるのだろうか、と考えると変な気持ちになった。それは嬉しいとも、嫌とも違う気持ちだった。

「何にやけてんだよ。チビのくせに」

ボソッと俊が龍に言った。

「チビ言うな!」

「本当の事じゃん?」

「言って良い事と悪い事があるんだよ」

「なっ先輩は龍の味方っスか!?」

「少なくともお前の味方じゃねえよ」

「すみませんチョコレートパフェ下さい」

「俺チビじゃないから!」

「ああ、うるさいよ。周りの客の事も考えたら?」

「あん? 蒼、お前表出るか?」

「表出ても邪魔なだけだろ。考えろよ」

「先輩っ、俺応援するっス!」

「あ、獲物見つかったらしいですよ」

「お前に応援されたくねー!」

「獲物見つかったって」

「酷いっスよ先輩ィィ!」

この言い争いは慧がパフェを食べ終わるまで続いたという。



高密度



俺チビじゃないよ?




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