夜埜様へ相互記念

しとしと。

しとしとしとしと。

俺はボケーと外を眺めていた。

ここ最近、毎日雨、雨、雨だ。

雨が降るとする事のなくなる俺はただ暇だった。

天を仰ぐと、雨が顔にあたる。

雨がリアルに見えてなんとなく楽しかった。

下を見ると、土色以外に見えるものがなくて寂しい。

ふにゃふにゃと柔らかくなったそれは足に不快感を与えるだけ。

雨にあたりだんだん体が冷えて、くしゅんとくしゃみをしてしまった。

寒いな。ここから出られないかな。

そんな事を考えていると、急に雨が止んだ。

そして感じる浮遊感。

不思議に思い、見上げてみると、知らない女の顔があった。

どうやら抱き上げられたらしい。

「うあー、お前可愛いな!」

その女はにこりと笑って俺の頭を撫でた。

あたたかいな。

素直にそう思った。

「うし、お前私ん家に住ましてやるよ!」

女は俺を抱き上げたまま、歩き出した。

眼下に俺が入っていた小さなダンボール箱があった。



これから始まる
君と僕の
secret life!




「君の名前は……うーんとポチ!」

(そんな、やめてくれ!)



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