N様より

夏の匂い
夏の気配
2人並んだその間にそよそよと流れていった
隣りで呑気に鼻歌を奏でているバカを見上げると、まるで向日葵が花を開いたかのようにふにゃりと笑うから、私は慌てて顔を逸してしまった
あまりにも眩しくて愛しくて
(どうしちゃったの、私?)
そんなことを考えていた
切ないようなワクワクするような何とも言えない矛盾した感情が広がってくる
それを見抜いたかのように
「な〜に百面相してんの?」
ニヤリと笑いながら私の顔を覗き込んでくる
何だか全て見透かされているようで不貞腐れれば、
「ほら、行くぞっ」
そう言って私の髪をわしゃわしゃと撫でた
歩いていく後ろ姿を追いながら得体の知れない期待に心なしか歩くスピードが速まってしまう
遠くでは虫の鳴き声
涼しいとは言い難い夜の道
そうだ、夏はまだ始まったばかり


夏に魅せられ君に惑う


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