じゃれる

「あ!にゃんこネ!」


あー、今日はなにしようかなぁ。


「おーい!にゃんこー!」


遊びに行こうかな、公園行こうかな。子供達いるかしら。


「にゃんこってば!」


うん、そうしよう。公園に行こう。と、そのとき、首を噛まれた感覚があってふわっと体が宙に浮いた。


「シカトすんなヨ!」
「わんっ!」


この前お登勢さんの所にいた女の子が私を見ていた。神楽ちゃん、だったよね、確か。私は犬に咥えられているらしい。ああ、そう言えば私は"にゃんこ"になったんだったっけ。忘れてた、私を呼んでたんだね。
とん、と下ろされてその犬を前にする。…え、犬ってこんなにデカかったっけ?異常にでかい犬を見上げて、じり、と後ずさりした。


「定春ネ!動物同士、仲良くするヨロシ!」
「わん!」


いや、あの…仲良くするどころか食べられそうなんだけど。丸呑みされちゃいそうなんだけど。身の危険を感じるんだけど!大きな顔が近づいて来て、思わず硬直する。


「くぅん」
「!」


しかし、丸呑みなんてこともせず、すり寄って来た。…そんなに怖いやつじゃないのかも。


「…にゃあ」


勇気を出してこっちもすり寄ってみる。なんか、定春君と友達になれた気がする!すると、ひょいっと抱き上げられた。


「にしても、にゃんこは可愛いアルな!」


ぎゅぅぅぅぅぅ、と音がするくらい強く抱きしめられる。ギブギブ!!苦しいぃぃぃっ。


「に"ゃ"ーっ」


必死で暴れると、神楽ちゃんはハッとしてすぐさま定春君の背中に下ろした。た、助かった…


「ご、ごめんアル。私、力強いから…」


しゅん、と落ち込む神楽ちゃん。とても悲しそう。わざとじゃないんだ。優しくしようとしてたんだね。なんか、悪い事したなあ…すっかり落ち込んでしまった神楽ちゃんに元気になって欲しくて。


「ニャー」
〈抱っこして。〉


定春君の背中でもごもごしていたけど、思いきって神楽ちゃんめがけてジャンプした。


「わ!」


なんとかキャッチしてくれた。アレで避けたりなんかしたら、私泣いてたよ。ごろごろと喉を鳴らしながらすり寄ると、神楽ちゃんはぎこちなく抱きしめてくれた。


「…へへ!ありがとうにゃんこ!」


はにかんで嬉しそうに笑った。
予定変更、今日は神楽ちゃんと定春君と遊ぶことにしようっと。


back < | >
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -