パフェを食べる

スナックお登勢に向かっていると、ファミレスの窓から銀さんが見えた。


「!!」


すぐさま窓に張り付き、前足でかしかしかしと窓を叩く。


「いっただーきま…ん?おまっ、にゃんこ!ビビらせんじゃねーよ!」
「にゃーにゃーにゃー!」
〈銀さん!〉
「今銀さん待ちに待ったパフェタイム!また後で構ってやっから邪魔すんな!」


しっしっ、と追い払う仕草をする銀さん。私は、なんとか中に入るべく、ちょうど入店したお客さんの足をすり抜けて入り、銀さんの隣に座った。


「にゃあ」
〈来たよ。〉
「…ったく…んだよ、パフェ食いに来たのかよ。あげないもんねっ」


パフェを私から離すように遠ざける。まあ、それ目当てじゃないんだけど。おいしそう…。銀さんの膝に乗り、パフェに顔を近づける。


「おまっ、やっぱパフェ狙いか!しっしっ!」


食べられる前に食べようとでも思ったのか、しっしっ、と言いながらぱくぱくと食べ進める。目の前でおいしそうなものを見せつけるように食べられて食べたくならない訳がない。せがむように小さく鳴いた。


「…そんな可愛く鳴いたってあげません」
「…」
「……じゃあ、こんだけな」
「!」


上に乗っかっていたイチゴを差し出される。ぱくっとかぶりつく。銀さんからイチゴもらえた…!味わって食べなきゃっ。もごもごしていると、大きな足音が近づいて来た。イチゴをくわえたまま顔をあげて、ぴしりと固まった。


「あ、坂田さん。すみませんけど、席が空いてないんで、相席いいですか?」


カラン、と銀さんがスプーンをカラになったパフェのグラスに落とした音がした。


「…屁怒絽…さん」


ひきつった銀さんの声。
いかつく、ゴツく、でかく、まさしく鬼のような恐ろしいその風貌。
あまりの衝撃的なその姿に動けないでいると、ガッと体を持ち上げられた。


「すいませんっしたァァァ!ごゆっくりどうぞォォォ!」


銀さんはダッシュでファミレスから脱出した。


「なんであいつがいるんだよォォォ!にゃんこなんて食いちぎられるぞありゃ!」



私を抱えて走りながら、そう叫んだ銀さんなのだった。


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