ゴリラと姉御と万事屋と
「どうもー、お妙ちゃんいる?理御です」


今日はお妙ちゃんの家に遊びに来た。…訳ではなく。これも仕事のうち。
いつものごとく、お妙ちゃんの尾行、つまりストーキングに励む近藤さんの回収に来たのだ。


「あら、理御ちゃん!お久しぶりね、おつとめご苦労様」


今日も綺麗なお妙ちゃんがにこにこと迎えてくれる。


「お妙ちゃん。いつもごめんね、引き取りに来たわ、ウチの局長」

「理御ちゃんが謝ることないわ。あのゴリラが悪いもの。どうにかならないのかしら?」

「うーん、もういっぺん死なないと治らないと思う」

「じゃあとどめ入れてくるわ」

「うそうそ冗談やめたげて!」


冗談にならない冗談を言いながら、中にお邪魔すると、中には銀さんと神楽ちゃん、新八君がいた。久しぶりに見た万事屋トリオと顔を合わせると、三人はぱっと顔を明るくした。


「久しぶりっぐほぁ!」

「理御ーっ!久しぶりアル!あ、団子!私に持って来てくれたアルか!だから理御好きヨ!」

「う、うん、分かったから離そうか、あたし死ぬから」


突進して来た神楽ちゃんに馬鹿力で抱きつかれる。背中をポンポン叩くと、神楽ちゃんはあっさりと離れた。団子が早く食べたいからだな。
神楽ちゃんに異常に懐かれていて嬉しい限りだが、あの抱擁は勘弁してほしい。マジ死にかける。
お土産に持ってきたお団子の詰められた箱を渡すと、嬉しそうに受け取った。


「お前な、ちょくちょく会いに来いよ。忘れかけてたぞ」


言いながら、早くも団子を口に運ぶ銀さん。そう言われても、忙しいのよ。


「理御さん、近藤さんはそっちにのびてます。いつもお疲れ様です」

「ありがと、新八君。お世話になるわね」


新八君の指差す方を見ると、ゴリラが倒れていた。この局長は、毎度毎度よく懲りないものだ。反省って言葉を知らないのかな。学習って言葉も知らないのね。
大きなたんこぶを作った近藤さんを見下ろして、ため息を一つついてから、お妙ちゃんを見てにっと笑った。


「いつもゴリ…近藤さんを律儀に引き取りに来てるんだし、少しくらい、ゆっくりしていってもいいよね?」

「理御ちゃん?今ついにゴリラって言いかけた?」


え、何も言ってないよ。まさかあたしが近藤さんをゴリラって言うなんてそんなこと。
お妙ちゃんがくす、と笑って立ち上がった。


「休憩も必要だもの。そうだお煎餅あるわよ」

「休憩どころか、あんなむさ苦しいとこ辞めちまえよ。なんなら銀さんとこに就職する?」


銀さんがニヤニヤしながらそんなことを言うものだから、串団子を銀さんの口に突っ込んだ。


「冗談。万年金欠とか嫌よあたし」

「ぐっ!ちょっ理御!串っ、喉に刺さるから!!」






ゴリラと姉御と万事屋と

(じゃ、またね!)
(またネ理御ー!)
(待って近藤さん忘れてますよ!!)
<<>>
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -