親友はツンデレ
ただいま、ハリセンを持って腕を組む美紀の前に正座している。…の隣にトシとザキも正座している。


「何か言うことは?」

「ごめんなさい」


縮こまって、そうつぶやくと、美紀はため息をついた。


「何に?」

「あの…裸でうろついたこと」

「それもだけど、もう一つ!」

「…メール無視したこと?」

「そんなことでこんなに怒るわけないでしょ!」

「…美紀のおやつのドーナツ食べたこと!?」

「あんたが犯人か!」


すぱーんっと叩かれる。だってだっておいしそうだったんだもん!美紀のドーナツだと思ってなくて!


「けどそれもちがう!」

「…なに?」


何かしたっけ、と記憶を巡らせていると、壁によりかかっている総悟が口を挟んだ。


「理御がいなくなってから、そいつ大変だったんですぜ。心ここにあらずで、この前の魚の塩焼き、塩と間違えて砂糖で作ってたんですぜ。ありゃァひどかった」

「黙っててください隊長!」


ああ、そういうことか。私は、美紀にも心配をかけていたのか。申し訳なく思うと同時に、なんだか嬉しくてへらりと笑った。


「ごめんね、美紀。ありがと」

「…もう、へらへらして!むかつく!砂糖事件もあんたのせいなんだからね!」


パン、とまたハリセンを食らったけど、少し威力が弱かった。美紀って、あれだよな、そう、ツンデレ。かわいいんだから。へらへらしていると、美紀の声のトーンが低くなった。


「…で、本題はこれから。ね、副長?山崎さん?」

「話はじっくり聞かせてもらいやすぜ」


二人が黒い笑みを浮かべる。あれ、美紀って…Sだっけ…。ごくりとつばをのんだ音が二つ、隣から聞こえた。


「もう尋問済み、だいたい話は分かってるわ。アホでバカな理御も悪いけど、それを見て鼻血出すお二人もどうかと思いますけど?」

「中学生かっつの。興奮しないでくだせェ」


言い返せない二人は、視線で殺せそうなくらい総悟を睨んだり、恥ずかしそうに縮こまったり。あたしはどういう反応をすればいいんだか分からず、汗をたらす。美紀はしばらく二人を冷たい目で見下ろしてしばらく説教をかまして、その後、はあとため息をついてハリセンをぶらぶらと振った。


「…まあ、いいです。わざとじゃないんですし。わざとだったらハリセンでしたが。以後気をつけるということで」

「もう終わりですかィ?チッ、つまんねーの」


終わりと分かれば、総悟はあくびをしながらどこかへ去って行った。…仕事は?
なんとか無事お説教が終わり、三人揃ってふうと息を吐く。あたしは立ち上がり、しびれかけた足をとんとんと叩く。なんだか疲れたな…今日はもう部屋でゆっくりしていよう。そう思って、伸びをしながら自室に向かった。







親友はツンデレ

(理御の裸見るなんて71年早いのよ!)
(何その中途半端な数字!?)
(山崎さんは94年!)
(えええ!?)
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