危険な賭け
その後も襲いかかって来る奴らをなんとかかわしながら、たどりついた場所は。


「よォ…じゃじゃ馬姫さんよ」

「高杉…」


高杉が煙管をくわえて戦闘を眺めている所だった。モップを握りしめ、荒い息を整える。


「なんだその格好。派手に破いたなァ…あの着物は気に食わなかったか?」

「動きにくいし重たいし、鎖で縛られてるのと同じよ。誰が選んだのか知らないけど趣味も悪いし」

「俺だ」

「…悪趣味」


ククッと笑う高杉。息を整える。すると、高杉が距離を詰めて来た。少し身構える。


「理御」


顎を指で上げられる。顔の距離は近い。キッと睨んだ。


「俺のところへ来い。真選組なんて小せェところはお前のいるべきところじゃねェ」


じっと見つめられる。片目だけの視線は両目にも勝る鋭さを持っていた。視線だけで射抜かれそうだ。それでも怯まず、言い返す。


「そんなの、あたしが自分で決める」


あたしも負けじと睨み返す。顎からすっと手を離される。ごくりとつばをのみ、決意したことを口に出す。


「賭けをしない?」

「…賭けだと?」


あたしは、大きな賭けに出た。これに負ければリスクは大きい。しかし、真選組の事を考えれば、これしかないんだ。


「制限時間内にあたしを誰かが助けてくれれば、真選組があたしを取り戻す事が出来れば…今日の所はドローって事にして、引いて」

「…」

「真選組の方は、あたしが説得する。不利だし…あたしを助けることが目的のはずだからあたしが戻ればすぐ引くわ」


こうすれば、お互い意地の張り合いで戦いをやめられないってことにもならないし、どう見ても戦力では真選組が不利だからすぐ退却出来て被害は最小限で抑えられる。今は、鬼兵隊と決着をつけるべきときじゃないんだ。いずれ、またそのときは来る。


「てめェを助けに来なかったら?俺のメリットは」

「あたしが…ここに、残る」

「…正気か?」

「そうでもしないと乗らないでしょ?」


なんでか、確信に似た気持ちがあるんだ。見つけてくれる。きっと、助けてくれると信じてる。だから、大丈夫。これは危険な賭けだけど。きっと、大丈夫。もし負けても、そのときはそのときだ。腹括るしかない。


「…おもしれェ」


ニヤリと不敵に笑う高杉にぞくりと寒気を感じた。







危険な賭け

(誰か、早く…)
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